「川崎フットボールアディクト」

【#オフログ】プリンスリーグ関東 最終節 vs帝京第三高校戦 アディショナルタイムの劇的勝利も参入戦には届かず。涙の最終戦となる

残念ながら、川崎U18はプレミアリーグ参入戦への出場権を手に出来なかった。目の前の試合に勝つという命題はクリアしたものの他会場の結果がついてこず、涙をのむこととなった。リーグ戦の結果は残念なものになったが、3年生にとっての等々力ラストマッチを勝利で終える、というタスクに関しては劇的な試合展開で達成した。

シャペコエンセの悲劇に巻き込まれたアルトゥール・マイアを含む犠牲者への哀悼の意を表する黙祷に引き続き、キックオフされた試合は帝京第三の猛烈なプレスとそれに対抗する川崎U18という図式で進んだ。

点を取り合う展開の中、川崎U18が2−1のリードで迎えた後半アディショナルタイムにドラマが起きる。そのまま敗れることを良しとしない帝京第三が前線に枚数をかけて攻撃に出てくる。往々にしてそうした捨て身の攻撃は徒労に終わるものなのだが、この試合では違った。90+2分。川崎U18のゴール前に入ってきたボールを跳ね返しきれず、帝京第三の田中聖人が豪快に蹴り込み2−2に。土壇場の同点ゴールとなる。

試合終了間際に喫した同点ゴールにも、川崎U18は死んでいなかった。失点から僅か1分後。後半何度となく打ってきたカウンターからボールを前方に運ぶと、最後はCBの新井秀明が蹴り込み3−2にすると、試合はそのまま終了となった。

必要最低限の勝ち点3を手にした川崎U18だったが、ベンチは落ち着いた様子で、それを見て他会場の結果は推測できた。結果的にプレミアリーグ参入戦への出場権を争う当該チームだった桐光学園は、2-0で甲府U18に勝利。東京Vユースも3-0で前橋育英に勝利しており、川崎U18は勝ち点差を縮めることはできず。年間4位が確定しプレミアリーグ参入戦への出場権を逃す事となった。

シーズンを終えた直後の今野章監督に話を聞くと、どの試合も「苦しくて(2節前の)ヴェルディさんと(前節の)前育さんとの試合でなんとかここまでこぎつけた」という認識が正直なところだったという。そういう意味では「取りこぼして勝ち点が足りなかった」という訳ではなく最後まで粘ってようやくたどり着いた4位だったと話す。際どく手の間からすり抜けた参入戦ではあるが、今野監督自身は清々しい表情をされており、健闘したシーズンだという評価なのだろう。

参入戦は逃したが、ユースとして最後の等々力での試合を勝てたことについてキャプテンの田中碧は「苦しい試合でしたし、相手があれだけ来る中で自分たちがやりたいこともやれなかった」と述べつつ「チーム全員で粘り強く戦って勝ち点3を取れたというのは今年の成果。来年につながるいい試合だったんじゃないかと思います」と総評する。

その一方で、先制点の村田聖樹は「自分たちの悪いところが出てしまって、リードした時に気を緩めてしまい、1点目のリードも追いつかれ2回目のリードも追いつかれた。いいところは出たんですが、悪いところも出た試合だったと思います」と厳しい言葉を口にしつつ「2年連続で同じような形で逃している。自分たちの代は1年の時から2回同じような経験をしているので、次こそは絶対に(参入戦に)行かないといけないと思います」と3年となる来年に向けて厳しい表情を見せた。

ユースにも劇場が発動したのは良かったが、リーグ戦では目標を達成できず。上を目指すことの難しさを思い知らされた一戦となった。

(取材・文・写真/江藤高志)

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