「川崎フットボールアディクト」

【コラム】クラブワールドカップ・ジャパン2016

日本での開催は今年で最後になるらしいクラブ・ワールドカップの取材をしている。

過去にも取材させてもらってきていたが、それまではどこか他人事のような状態での申請だった。ところが今回に関してはかなり身近に感じられていた大会だったのは間違いない。申請期限がチャンピオンシップ前で、クラブ・ワールドカップに出場するフロンターレを取材することができるかもしれない、という思いを持てていたからだ。

CSは、準決勝でフロンターレを下した鹿島が、そのまま浦和も破りJリーグチャンピオンとなった。その鹿島がクラブ・ワールドカップに出場し、準決勝を突破して決勝に進出したのはご存知の通り。世界を驚かせているあの鹿島の立場にフロンターレが立てていたかもしれないと考えると、やはり悔しい。

とそんな話を知り合いのライターにしたところ「フロンターレにしてもレッズにしても、それはないだろう」と一笑に付されてしまった。曰く鹿島が準決勝で対戦したアトレティコ・ナシオナルの猛烈な攻撃を、防げるわけがないだろう、とそう言われたのだ。

厳しい攻撃を仕掛けてきた南米王者に対し、鹿島の守備陣は体を張ってブロックし続け、無失点で試合を終えた。あれだけの守備がフロンターレであれ、浦和であれできるのかと言われれば、何となくイメージには合わない。その点では、同業者の主張は正しいのかもしれない。ただ、同業者が間違えているのは、守勢に立つことを前提にする必要がないという点を見逃しているということ。つまり、フロンターレが攻め勝つ展開もあり得たのではないか、という可能性を考慮していないのだ。

もちろんそれが難しいのは理解できるし、それこそ現実主義者揃いの同業者には大笑いされる主張だとは思う。ただ今季のフロンターレは、攻撃性を前面に出して結果を手にしてきており、世界の舞台で攻撃的に戦うだけのポテンシャルを持つチームなのは間違いない。

もし仮にフロンターレがクラブ・ワールドカップの舞台に立ったとして、彼らはどんな戦いを見せてくれたのか。鹿島の快進撃を目の当たりにして、そんなことを夢想して、ため息を付いている。勝てば、勝つだけ高みに進める状態にあった今季の終盤戦は、予定は未定の状態だった。

「そこに近づけていた」フロンターレを取材してきたからこそ、他クラブであるところの鹿島の戦いぶりを身近に感じつつ、だけれども大きな断絶も同時に感じている次第だ。今回のクラブ・ワールドカップはそんな大会になった。

いずれにしても、レアル・マドリードと鹿島との決勝戦がどうなるのか、見届けさせていただこうと思う。

(取材・文/江藤高志)

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