「川崎フットボールアディクト」

【#オフログ】九州サッカー紀行。情熱を煮詰めた先にある純粋さと、それぞれのサッカーとの関わり方


テゲバジャーロ宮崎が、山形を率いていた石崎信弘氏の監督就任を発表した後、急に九州リーグ(実質的に5部リーグ)のことが気になり始めた。うっすらと生まれ故郷の大分県中津市を拠点にするFC中津が九州リーグを戦っていることは知っていたが、どんな組織運営なのだろうかと興味がわきFC中津に関わっていた知人を介して監督の梶原一男さんにアポイントを取ることができた。

大分県中津市の小祝という漁港に隣接する土のグラウンドで、FC中津は練習していた。トップチームが練習を始めたばかりのグラウンド脇で、ジュニアチームの指導を終えた梶原一男さんに取材を始めた。


1969年創立のクラブは2012年に九州リーグに14年ぶりに再昇格。その後、名称をFC中津に変更し今に至るという。「中津はサッカー大国だとは言われていますが、なかなか育成のところにメスが入ってない」という現状を憂い「育成からJリーガーを輩出することを目標に。そしてJの経験を持つ選手がキャリアを終えて帰ってくる場所として、組織を作ってきました」と梶原さん。チームとしてのJリーグ入りは考えていないという。

そんなFC中津の選手たちは日中は仕事をしているとのこと。

「大体公務員が多いですね。鹿屋体育大、福大。その辺を出て消防士になってうちに入ってる選手は多いです」

練習は勤務を終えた夜20時からの2時間で、基本的に自由参加。「練習に来ようが休もうが自分たち次第」という形式を取るという。そのため練習場に集まれるのは20名程度。そして何よりも驚いたのが、彼らは月謝として4000円をチームに収め、プレーしているという。そんな環境の中九州リーグを戦っているのだからサッカーにかける情熱は並大抵のものではない。

2月から3月にかけて行われる天皇杯大分県予選を目指し、2016年12月にチームは始動。着々と準備を進めているという。2012年の平均観客動員数は150人。それを今年は1試合平均500〜600人に増やしたいと意気込んでいた。

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