「川崎フットボールアディクト」

■旭日旗掲出に関してのAFCの処分について

4月25日のACL水原戦において旭日旗が掲出された件について、5月4日にAFCから処分が発表された。水原側の主張を受け入れたと思われるAFCは、フロンターレに対し1試合の無観客試合とそれに対する1年間の執行猶予に加え、15000USドルの罰金を課すと発表した。

THREE CLUBS FOUND GUILTY OF DISCRIMINATION AND SPECTATOR MISCONDUCT
http://www.the-afc.com/media-releases/three-clubs-found-guilty-of-discrimination-and-spectator-misconduct

この件について4日に藁科義弘社長が記者対応を行った。今回の件については5月1日に自らAFCに赴き、意見表明してきた藁科社長のスタンスは変わらず。旭日旗に「政治的、差別的」な意味はないとしており、今回の決定に対しAFCに説明を続けていくという。

また15000USドルの罰金については執行猶予とは無関係に支払いの義務が生じるが、今後の抑止力を考えて、これを問題の男性に負担させてはどうかとの質問については、それはないと否定している。

なお、水原サポーターの川崎ゴール裏への侵入とそれに付随する騒動について、AFCに訴え出てこれを罰する必要があるのではないかとの声が多く聞かれる。ただしこの件については現状難しそうだ。というのも「試合が終わった後、一定の時間の中でマッチコミッショナーに申し入れしなければならない、というルールがある」ためだ。水原戦では試合直後の騒動の収拾に忙殺されたため、これができなかったという。ただし「我々の主張を文章で提出した際にその件も伝えています」とのことで、これがAFC内でどう評価されるのかは今のところわからない、とのことだった。

水原側に訴え出るということも対応としてはあり得るのだろうが、どこまで実効性があるかはわからない。

■国際ルールの難しさ
改めて、国際ルールの難しさを痛感させられる。

旭日旗については今回の決定が確定した場合サッカー界にとどまらず、国を揺るがす大問題になる可能性もある。旭日旗が「差別的、政治的」な意味を持つものと認定された場合、それに類するデザインのものも規制対象になりかねない。日の出を模しためでたいものとして旭日旗的なデザインのものは日本のみならず世界中に溢れており、そこに差別的な意味が付与されるとすればこれは非常に大きな問題になるだろう。AFCが、10日程度の期間中に旭日旗と日本の歴史や文化をどこまで理解したのかはわからないが、引き続き粘り強く説明を続けていくしか無さそうだ。

また、水原サポーターの乱入については、警備の甘さやその責任を負う水原側の消極的な対応が取り沙汰されているが、それも含めて試合直後の一定の時間内に報告する必要があった。そこに間に合っていない以上、ルール上は何らかのペナルティを水原側に課すのは難しいのかもしれない。そういう部分で脇の甘さを指摘されれば反論できないが、ぜひ今回の件を教訓にしてほしいと思う。ここから先、ACL出場クラブは問題が起きた場合の対応をマニュアル化し、迅速に必要な処理を行うことを徹底してほしいと思う。

(取材・文・写真/江藤高志)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ