【Blue Note kawasaki】vol.5 悪戯な神様がつくった美しい風景(大塚いちお)
大塚いちおさんが、2017年最後のコラムを執筆してくださいました。奇跡の逆転劇で初優勝するフロンターレについて書いてくれました。
Blue Note kawasaki vol.5をお楽しみください。
その瞬間、僕はメインスタンドのちょっとフロンターレ側、そう、ちょうど長谷川竜也がゴールを決めて新井と抱き合っていた後ろあたりにいた。飛び跳ねる選手たちが一斉にピッチになだれ込み、遠くピッチ中央あたりで、うずくまり泣き崩れる憲剛を見た。周りは騒然とし、その場で飛び跳ね、抱き合い、喜びの叫びをあげるサポーターたちの姿を見た。僕は用意していた水色の紙テープを、このテープが選手からも、バックスタンドのサポーターからも美しく見えるようにと、なるべく高く投げ込んだ。そして涙がこみ上げ、この目に焼き付けておきたい風景がにじんだ。
前回、このコラムで、埼スタで「だいじょうぶ、だいじょうぶ」だと僕らがその場の空気を作ることで、望んでいたタイトルが舞い降りるのではと書き、普段の力を出せば間違いなくカップは手にできるのだと信じていた。しかし、勝負事は本当に何が起きるかわからない。その場でおきたことすべてを含めて実力だと思わなくてはならないのだと、また思い知らされた。強いものが勝つのではなく、勝ったものが強いのだ。
そんなスポーツでの常識も、ルヴァン杯決勝後の残り試合でリーグ戦を獲るのが大変なこともわかったうえで、諦めたくなかった。なぜなら今年のフロンターレが強いのを僕らは知っていたからだ。
(残り 1906文字/全文: 2541文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ