「川崎フットボールアディクト」

【えとーセトラ】ハリルホジッチ前代表監督解任で考える、監督選考に必要なもの【書評】

■プレーモデルの確立
それでは場当たり的な監督選びに陥らないようにするにはどうするべきなのか。「怒鳴るだけのざんねんコーチにならないためのオランダ式サッカー分析」の中で白井さんは、サッカーにおける目的と原則を明確化することの必要性を示す。

監督選びの根底にあるべきものは「プレーモデルの確立」だ。これがまず定められていなければ、監督選びの基準は作られない。まがりなりにも日本サッカー協会は日本サッカーの将来について「日本人らしいスタイルをもって戦っていく」ことを目指すと公言しているのだから、日本人らしいスタイルの戦いというものを定義づけなければならない。

プレーモデルを確立させるためには戦略と戦術を明確化させる必要がある。

ここで言う戦略つまりストラテジーは勝つために採用するプレースタイルを指す。

現代サッカーにおいては2つの戦略があると言われる。一つが「ゲームメイク」でもう一つが「カウンター」だ。ゲームメイクの中にも、パスワークでゴールに迫るポジショナルプレーと、より直接的にゴールに向かうダイレクトプレーに分けられる。

たとえばアヤックスの場合、ゲームメイク戦略としてはポジショナルプレーを選択している。

ちなみにサッカー用語として「ポゼッション」という言い方があるがこれはボールを保持している状態を指す言葉であって、戦略用語ではない。

戦術はより実践に即した方法論を指す言葉で「対戦相手の戦略にアジャスト(調整)すること」を指す。

試合前に用意しておくものが戦略で、実際の試合中に対戦相手の出方に応じて対応をするのが戦術に当たると考えていいだろう。

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