「川崎フットボールアディクト」

後半ATの同点弾で命拾い。PK戦の末に湘南U18を下す/JYC 1回戦 川崎U18vs湘南U18【レポート】


10月5日(土)(15:00KICKOFF/等々力/1,353人)
川崎U18 2 – 2(PK4−2) 湘南U18

川崎U18が湘南U18を下した。

5日に等々力でJユースカップ1回戦が行われた。試合は2−2のまま延長PKまでもつれ込む接戦となるが、最後はホームの川崎が湘南を押し切った形。10月3日に宮城天のトップ昇格がリリースされていただけにそのプレーぶりにも注目が集まる試合となった。

1353人の観客を集めた試合は、湘南にクロスバーとポスト直撃の決定機を作られるなど苦しい前半になるが1年生GKの青山海が言うところの「運」にも助けられ0−0で後半へ。

迎えた後半60分に宮城が先制点を決め、試合を動かす。

「左サイドバックが右利きというところもあったので、ワンタッチで前というのがチャンスになると言われてて、少し綺麗すぎたとは思いましたが、狙い通りでした」(宮城)

ホーム等々力ということもあり、GKの青山は周りの選手たちと「先制してこのまま行けるかなとみんなで話して」いたという。ところが68分に同点ゴールを奪われると、75分には逆転ゴールを与えてしまった。

青山は「1点入れられて嫌な空気になって」しまった時間帯だったと明かす。

「後ろから見て少し守備が弱かったり、寄せが甘かったり。クリアをはっきりしないとか。そういう部分が見られた」と守備の問題点を指摘しつつ「GKとしてはそこをもっと締めてやっていれば2失点目はなかったかなと思います」と述べ、周りを動かしきれなかった自らに矢印を向けていた。

ただ、試合は後半アディショナルタイムの90+2分に同点ゴールが生まれる劇的な展開に。

決めた常安澪は「後半の最後の方からしか出られませんでしたが、来たボールを決めることができてよかったです」とホッとした様子。またアシストの戸水利紀は、その手前に居た宮城の動きがポイントだったと振り返る。

「あれは手前に天選手がいて走ってるのが見えたので。相手が完全に斜めにつられてたので、その天を越すというか、そのスペースに落とせば相手は動いているので。そこに入ってくれれば、というところにちょうど入ってきてくれて、良かったです」

試合はそのまま10分ハーフの延長戦に入るが、スコアは動かず。PK戦となった。

青山は「PKは自信を持ってるので。PK戦になれば勝てるだろうというのは思っていました」のだという。

先攻の川崎は一人目の戸水がいきなりセーブされて苦境に立たされるが、続く湘南の一人目をGK青山がセーブしてイーブンに。

その後、3人連続で決めた川崎に対し、湘南の4人目を青山がまたしてもセーブ。青山は湘南の選手の蹴る方向を4本とも読んでおり、そのうちの2本を止めた形。

「会場はここですし、サポーターはフロンターレの方が多いですし、相手は絶対に緊張していると思ったので。それで全部目線を合わせたというか、相手がボールをセットしたときにずっと目を見て、相手がちょっと目をキョロっとしたりとか、緊張が見られたので、これは行けると思いました」と話す青山は「GKの大仕事の場面で発揮できてよかったです」と笑顔を見せた。

決めれば勝利という川崎の5人目は宮城だった。

青山は、宮城のPKについて「天さんは決めるだろうなと。練習のときもコースには行ってたので。あとは思い切り蹴れるかだったと思ってましたが、緊張なく蹴れてたので。良かったです」と話す。

その一方、5人目で蹴った宮城本人は「外す感じはしませんでした。決めるだろうなとは思ったんですが、色々と舞台が整いすぎてたので。でも緊張する間もなく蹴ったので。蹴ったら入ってた感じでした」と述べつつ、ここ最近PKを外していたらしく「蹴る場所は数日前からずっと決めてました」と笑顔を見せていた。

役者がしっかりPKを決め、川崎U18が勝利を収めた。

宮城はトップ昇格公表後の初試合ということで、等々力に駆けつけたサポーターに存在をアピール。「個人的には重圧とか、そういうのは感じてなかった」としつつも「結果的に発表された初めての試合で、より一層そういうことで周りの目線とかも変わってくると思うので。ただ試合に出るだけではだめだと思うので。しっかり結果を求めたいです」と決意表明。

ユースでの残り少ない日々に向けては「間にプリンスリーグを挟みますが、キツい戦いが待ってるので。そこでしっかり勝って、Jユースは最後の全国大会なので。夏は自分たちの実力を最大限に出せずに負けたベスト8だったので、自分たちに力はあると思っているので。勝ち抜ける力はあるので、こういう軽い失点を無くして、一人ひとりの意識を集中して勝ち上がっていきたいです」と述べていた。


背景を見てもらうとわかるが、この日は日差しが強く、前半は飲水タイムが取られた。


よく動いた山内日向汰


1年生ながら先発の五十嵐太陽


有田恵人は宮城とともに2種登録されている。

(取材・文・写真/江藤高志)

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