「川崎フットボールアディクト」

なりすまし差別発言に法的措置の調整を開始と発表【ニュース】

川崎フロンターレが、なりすましアカウントによる差別的な投稿に対し、対策を取る旨リリースした。

SNSにおける差別・偏見・誹謗中傷にあたる投稿について
https://www.frontale.co.jp/info/2020/0921_17.html

具体的には「注意喚起だけではなく直接的・具体的な対応が必要であると考え、適切な方針を提案してもらうべく、顧問契約を結んでいる弁護士事務所と具体的な調整」に入ったとのこと。

これまでフロンターレの試合後に、対戦チームに対する差別的投稿が、川崎サポーターになりすましたSNSのアカウントによって複数回実行されていた。また、その都度対象になった選手の所属クラブが声明を出す事態に陥っていた。

9月20日の浦和対川崎の試合後にも、浦和の所属選手に対する問題が発生。この件について浦和レッズ公式サイトでは次のように声明を出している。

『SNS における差別的、誹謗中傷的な投稿について』
https://www.urawa-reds.co.jp/static/info/168457.html

昨日の試合終了後(9月20日)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にて弊クラブ所属選手に対する差別的発言や誹謗中傷を伴う看過できない発信を確認しました。

ここ数節、川崎フロンターレの対戦相手に対して同様の投稿が為されており、川崎フロンターレサポーターのアカウントを利用した成り済し行為と思われます。

これは浦和レッズだけではなく、Jリーグ全体に対して悪意のある行為です。」

すなわち、悪意の対象を浦和のみならず、Jリーグ全体に広げてくれているのがわかる。
その上で、浦和としても法的措置の可能性に言及。強い口調でなりすまし発言を批判している。

浦和レッズとしては、弁護士にも相談の上、今後の状況によっては法的措置も辞さない考えです。

今後もいかなる差別的、侮辱的な行為や言動、SNS等での発言も絶対に許すことはありません。」

近年SNSによる誹謗中傷については自殺者が出るなど社会問題化。悪意のある書き込みに対してはそれを抑制する制度づくりを求める声が高まっている。

なお、現在でも、ネット上の匿名の書き込みによる問題については、プロバイダー責任制限法という法律に基づき、SNSの運営会社に対し匿名の発信者についての情報の開示請求が可能となっている。

ただしプロバイダー側がこの請求に応じない場合、訴訟を起こす必要がある。この点については複数のフロンターレサポーターがなりすましの被害にあっているということ。継続的に誹謗中傷が行われている点を考え、今回フロンターレがクラブとして法的措置の検討を始めるとのリリースを出すに至った。

現状なりすまし自体に違法性はないが、なりすましアカウントによる差別的発言が、名誉毀損や侮辱罪などを問える可能性もある。そのあたりについて、今後検討していくものと思われる。また差別的発言を受けた選手はもちろん、なりすまされたサポーター、間接的にクラブの名誉を傷つけられたフロンターレ。そしてJリーグとしてもこの問題を看過するべきではないと考える。訴訟については個人で行うにはハードルが高いため、クラブなどが代行できればそれに越したことはないのは間違いない。

この件でありがたいのは、「川崎フロンターレサポーターのアカウントを利用した成り済し行為と思われます」とする浦和さんはもちろん、同じように中傷された広島の関係者も、フロンターレサポーターの気風ではないとして、フロンターレサポーターだとは考えていないとしている点。その理由として、こちらの動画で中野和也さんは、等々力の雰囲気を見ればそれはわかると指摘している。

個人的にフロンターレを好きになり、取材を続けさせてもらうきっかけになったのが等々力の温かさで、それがチームの特徴として他チームの取材者にも浸透していて救われた気がした。

いずれにしても、まずは二度とこのような問題が起きないことを願いつつ、過去に起こしたなりすまし案件については、然るべき対応が取られることを期待したいと思う。

(取材・文・写真/江藤高志)

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