指揮官のこだわりと、手にした勝ち点1/J1 第25節 vs広島【レポート】
J1 第25節
8月21日(土)(19:03KICKOFF/Eスタ/4,885人)
広島 1 – 1 川崎
■ロングフィードは非推奨
あまりに悪すぎる前半が不思議でならなかった。確かに広島は前から来ていたが、逆に、1枚目を剥がせれば前に持ち出せるのではないか。そう期待したが、剥がす過程で自滅気味のミスを頻発して組み立てきれず。チームの出来に変調を感じていたが、であるならばタテに長いボールを蹴ってリズムを変えてみてはどうだろうかと考えた。この試合ベンチスタートの山村和也が、天皇杯清水戦で見せたパフォーマンスが頭に残っていたからだ。広島を前後に揺さぶることができればもう少し広島の前からの圧力を逃がすことができるのではないか。
後半に入ると、車屋紳太郎が長めのパスを出しはじめ、途中交代出場の橘田健人が旗手怜央に付けたミドルレンジのパスが同点ゴールにつながる。風下だった前半から風上に立った後半の風の影響も含め、ロングフィードの違いが試合展開に影響した部分は大きいのだろうと考え、試合後の鬼木達監督に質問してみた。前後半の試合内容と、長いボールに関連性はあるのかないのか。
鬼木監督は開口一番「長いボールは避けたかったってのはあります」と述べ、チームとして推奨した選択肢ではなかったのだとしている。
前半は特に「上のボールは、やはりかなり(風で)押し戻される形になっていたので。当然そのセカンドボールを拾われてとか。一人一人のパスの距離が長くなって、長くなればなるほどやっぱりアプローチ行けるところも増えてくるので」と解説。
さらに後半については距離感を大事にするよう指示を出したのだと明かす。
「長いボールというよりも、短いところで、しっかりと丁寧にやれる距離。あとはサポートができる距離を保ちながら。多少ゴールまでに時間がかかったとしても、やっぱりそこのところをしっかりとゴール前まで丁寧に運びながら、最後のところで背後ってものを大事にしながら。あとは途中から入ったケントがチャンスのときは前狙ってほしいというところで。そういうボールを出してくれたので。それは得点につながってよかったかなと思います」
自分の中で組み立てていた仮定が全く違っていたことに我ながら落胆しつつ、どこまでも足元にこだわる姿勢が鬼木監督らしかった。楽しんでもらえるサッカーに対する信念とも言えた。
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