「川崎フットボールアディクト」

正常化に向け、少しずつ前進【えとーセトラ】

NPBとJリーグの第43回「新型コロナウイルス対策連絡会議」後のメディアブリーフィングに参加しました。

今回は公式戦の入場制限の緩和などが話し合われたようですが、国内のコロナの感染者数が激減している昨今の社会情勢を考えると当然の方向性です。

ただしイギリス、ドイツ、フランス、ロシアなどのヨーロッパ諸国で感染が再拡大。オーストリアでは、ワクチン未接種者を対象にロックダウンが実施されるとのことで、国内への入国規制を緩和する日本で今後感染者数が増える可能性は否定できないとの話も。

ちなみに欧米ではサッカーや野球のスタジアムがマスク未着用の観客で満員になり、声を出して応援する日常が戻っている一方、日本は規制がかかっています。そのあたりの危機意識の違いが、感染者数の違いとし出ている可能性も指摘されていました。世界がウイズ・コロナの方向性で腹をくくっているように見える一方、日本は感染を怖がる傾向があるとの世論調査もあるようで、日本の場合ワクチン接種による重症化リスクの軽減が、必ずしも社会生活の正常化に結び付いていないようです。国民性としてゼロ・コロナを求めているのかもしれません。

話を少し脇道にそらしますが、日本国中の感染者数の減少はワクチンの効果なのだろうと思っています。他国も同じような接種率を達成しているわけですが、他国との違いの一つは、ワクチンの輸送時に温度管理を徹底できた部分にあるのではないかと思っています。mRNAワクチンは温度管理がシビアで、規定の温度を超えると接種前にワクチンが壊れてしまいます。その点、他国と日本との感染者数の推移を見るに、mRNAワクチンの品質が保たれた状態で日本国中に輸送され、接種されたと考えるのが妥当なのだろうと思っているところです。温度管理にシビアな魚という食べ物が好まれる国ですし、魚を好むという食文化をベースにした土台部分が他国とは違っていたのかもしれません。

ということで話を戻しますが、3回目のワクチン接種が今後本格化する中で入場者の制限が緩和される方向に進むようです。

ちなみに収容人数の制限撤廃については、来季の目標だとのこと。ワクチン検査パッケージの実証実験が行われていますが、入場前のチェックに膨大な時間と人員が必要で、簡単では無かったと斉藤惇コミッショナー。その斉藤コミッショナーは制限無しの方法論についての私見を次のように述べています。

「接種or検査という形をとってるんですけども。色々考えると、やっぱり2回接種して、なおかつ検査というのが本当は一番良いように思うんですね。その検査のやり方が、球場の入り口じゃなくてですね。前もって二日前でしょうか、仮に無料で、2回打った人も無料で薬局か何かで、キットを買ってそのやれば、郵便で送ってもできるとか。色々方法はありますので。そういうことを制度として国で考えてもらうと、本当に制限なしになった時に、来年の話ですけど」

村井満チェアマンは、今季の制限解除について年内についてはギリギリではないかと発言。すなわち11月19日に政府から制限についての新指針が出てくるとのことで今季のJ1、J2、J3の最終節にあたる12月4日、5日に向け、「チケット販売のリードタイム、逆算すると2週間程度は必要になってきますのでギリギリのタイミングかなと思っています。方針の発表を受けて、最終節の扱いについては検討してことになろうかと思っていますが、今のところは現状の延長線上であるかなというふうに考えております」と述べて、現状維持の方向性を示唆しています。

ちなみに連絡会議の座長、賀来満夫・東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授、東北大学名誉教授は「メッセンジャーRNAワクチンというのは、素晴らしいワクチンではあるんですけども」としつつ現状は感染を「100%防ぐことは難しい」と発言。だからこそ3回目の接種後に期待を寄せていました。

「3回目。今回また、12月あるいは1月から色んな方に打っていけるとなると思いますし、4月になると、またその3回目のブースター、打ってる方の割合がかなり高くなると思うんですけど(中略)、ワクチンは2回あるいは3回打ってる方っていう方が、ある程度観客として入ってこられる前提になるのではないかと思われます。今実際には、2回打った方が70%超えてきてますから。国民のやっぱり8割近く、7割、8割近くの方が(3回目を)打っているという前提」で制限が解除される方向になるのではないかとのことでした。

ちなみにワクチン未接種の方については、政府の方針を見つつの対応になるとのことでした。

ワクチンの接種や、今後の感染者数の推移など、これからも紆余曲折は予想されますが、正常化に向けて少しずつ前に進んでいるようです。

(取材・文/江藤高志)

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