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「川崎フットボールアディクト」

家本政明さん「愛あふれる、心がすごく動かされた環境を作ってくださった、全ての人に感謝してます」ラストマッチ【#オフログ】

■ラストマッチの盛り上がり

2021年シーズンをもってトップリーグを担当する審判員を引退される家本政明さんと、村上伸次さんのお二人が12月6日に取材対応された。

家本さんについては横浜FM対川崎が審判としてのラストマッチになっており、「一番思い出深い」とも話されていた。この件について少し話を聞かせてもらった。

今回は引退が事前に告知され、また試合当日の朝10時ではあったが両審判員の担当試合についてリリースが出ていた。その結果、チームはもちろんサポーターも事前に準備ができた。

明確に、日産スタジアムでの試合が家本さんの引退試合だとわかっていたため、試合前の場内アナウンス時には一際大きな拍手が聞かれた。また両チームのゴール裏には家本さんを送り出すための横断幕が掲出され、さらに試合後には選手による花道が作られて記念品の贈呈があり、集合写真などの撮影が行われた。

これら一連の出来事について家本さんは「感謝と、最高でしたっていう言葉しかちょっと思いつかないです」と振り返る。そして戸惑い、恥ずかしく感じる部分もあったのだと話す。

「なぜなら、僕は主役じゃないから。逆に今までたくさん迷惑かけて、多くの人にいやな思いをさせて、そういう状況を作り出した張本人であるにも関わらず、ああいう愛あふれる、心がすごく動かされた環境を作ってくださった、全ての人に感謝してますし、本当にありがとうございます、って思ってます」

そういう心理状況だったこともあり「もうずーっと、なんかよくわかんない、真っ白な状態。夢の中にいるようなそんな感じでしたかね」と振り返っていた。

■事前告知について

ちなみにJFAの粋な計らいとも言える引退試合の事前告知について、実は家本さんが働きかけてきたものでもあったのだという。

「今、ヨーロッパって結構前に出すんですよね。それについてJリーグとしてどう思いますか?って話をしたら、Jリーグ側は結構ポジティブだったんですね」

ただしtotoの問題や、セキュリティの確保など「解決しなきゃいけない問題、体制」がまだまだ整っておらず、現時点でも基本的に事前告知は行われていない。それが今回行われたのは、両審判のラストマッチだったからだ。だから、その落とし所として試合当日「10時のリリース」だったのだという。ホームページなどでの告知はなかったが、やはり反応は大きかったと家本さん。

「多くの人がすごい喜んでくださっているという話を聞いて、そのニュースを見て、わざわざスタジアムに入られないんですけども、チケットは売り切れてるので。でもスタジアムの周辺に来られたっていう、ツイッターを頂いたり、そういう話を聞いて、ちょっとグッとくるような」こともあったという。

ご自身の働きかけが直接的に今回の事前告知につながったのか最終的には確認ができないと家本さんは述べていたが、少なくとも今回初めて実施された事前告知は成功だったと言える。

■懐に入り込む

有り体に言って、Jリーグ創設以降、審判員とサポーターは概ね敵対関係にあったように思っている。サポーターは、自分たちに対し悪いジャッジをされたときの印象だけが残ってしまい、審判員に対して悪印象を持ち続けがちだからだ。

そうしたサポーター感情が見えていたこともあるのか、JFAは審判員の保護を優先させてきていた。家本さんはこれについて「JFAさんは我々のことを思って、いい意味で包んでくれたってことある」のだと指摘。しかし昨今の世の中の事を考えたときに「隠そうと思っても、隠しきれない社会になってる」現状がある。であれば、情報発信したほうがいいのではないかと考え、それを実行したのだという。

SNSを始めた当初は「急に発信したもんだから、最初はわーって、色々と大変だった」と苦笑いする家本さんだが、徐々に「頑張って、いろんなことを発信し続けていくと、周りの反応が徐々に変わってきて、反応する人の数とか層が変わってきているのを身をもって経験」したと話す。その経験の中で「やっぱり多くの人って、何でもいいからレフェリーからの情報発信を求めてたんだと。それがちょっとでもいいから、(情報発信が)あることによって、多くの人の安心感とか、信頼感って言うんですかね。そこがちょっとずつできて来てるなって、身をもって経験」できたのだという。

家本さんは「人間の深層心理が一番関係してるなと僕、思ってまして。人間わからないものに、不安と恐怖心とか、どうしても抱いちゃう」という心理を理解した上で、SNSでの情報発信を継続。他の審判員もSNSでサポーターと接する機会を増やしており、それが関係性を転換させたということが言えるのかもしれない。

その先頭に立っていた家本さんは、引退試合での歓迎を喜び、感謝していた。

試合後の集合写真がサッカーの素晴らしさを雄弁に伝えていた。いいものを見せてもらいました。


セカンドキャリアも楽しみです。

(取材・文/江藤高志)

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