「川崎フットボールアディクト」

やっぱりすごい、三笘薫。改めてすごかったフロンターレ勢【#オフログ】

日本代表がW杯出場を決めた。

三笘薫が2ゴールの活躍で、結果しか出さない男の役者ぶりを見せつけられた。

山根視来からのアシストについて「ミキくんがあそこでボールを持った瞬間、フロンターレ時代からマイナスに来るのはわかっていたので。素晴らしいボールが来たと思います」と三笘。

時間帯を考えて「サイドで時間を作ろうか迷った」と話す2点目は、途中交代出場のメリットを自覚した上で「力も余ってましたし、一人崩せば侵入できるスペースはあったので。行くしか無いと思って」の得点だとも明かしている。

三笘の凄さは、ドリブルで突破したプレーがそれで完結しないところにある。ドリブルで作った有利な状況を、確実に次のプレーに繋げられる質の高さに毎回驚かされてきた。ときにそれが右足アウトでのラストパスであり、シュートだということになる。サッカーは最終的にゴールを目指す競技で、そういう意味でドリブル突破をゴールにつなげた2点目は三笘らしさが詰まった得点だった。

2点ともどこか懐かしい、ゴールだった。

守田英正は、三笘が決めた先制点の場面を振り返る。山根視来とのパスワークについて「絶対に(山根から)ボールが入ってくるなと。目が合ったので」と話しつつ、自らのパスの質について「自分がすこしボールを流してしまった」と反省。ただそこから「最後、薫が詰めるところまでなんとなく予測できた」のだと述べ、そうしたプレーイメージを「共有できてよかったです」と安堵した表情を見せていた。

その守田のトラップは本当に凄まじかった。ピタピタと止まるトラップが、この試合の日本代表の大きな武器になっていたのは間違いなく、フロンターレでの日々の賜物なのだろうなと、少し嬉しかった。

酒井宏樹の負傷欠場が大迫勇也の欠場とともに日本代表にとっての暗雲だと表現されていたが、それを跳ね返す山根の活躍で溜飲を下げさせてもらった。前半から見せていた機動性はさすがで、先制点の場面でも、少しだけ流れたボールに諦めずに食らいつき、しっかりと折り返した腰の強さが全てだった。前半25分のオーストラリアのCKの場面。自らに当たりゴールネットを揺らすという事件があったが、結果的にVARを経てノーゴールに。幸運が味方してくれた形だが、それも含めて「持っている」ということであろう。

6連勝でワールドカップ出場を決めた日本代表の転機になったのは、ホームでの2021年10月12日のオーストラリア戦。この試合で先制点を決めた田中碧は結局この試合を契機にレギュラーポジションを奪取。日本代表には欠かせない存在となった。中盤で走り回り、質と強度の高さで日本代表の中盤に安定感をもたらしてくれた。

最終予選3試合連続出場で、3連続完封勝利に貢献したのが板倉滉だった。冨安健洋が招集できなかったこのオーストラリア戦は、大方の予想では谷口彰悟の先発が有力視されていた。だからこそ、板倉の先発には驚かされた。そして板倉は、無失点勝利という結果で森保一監督の期待にしっかりと応えた。フロンターレでは超えられなかった谷口に打ち勝った板倉は、狙っているという代表のレギュラーポジションにまた一歩近づいたことになる。アカデミー時代から見てきた選手の凄まじい成長ぶりにはただただ驚かされた。

(取材・文/江藤高志)

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