「川崎フットボールアディクト」

知念慶の決勝点で勝利もR16進出ならず/ACL2022 GS第6節 vs広州【レポート】

ACL2022 GS第6節
4月30日(土)(17:00KICKOFF/Tan Sri Dato’ Haji Hassan Yunos Stadium/210人)
川崎 1 – 0 広州

■ラストプレーの決着

広州戦終了後、ベンチに引き上げてくる選手たちに、スタンドのベンチ外メンバーから声がかかる。

「まだ大丈夫!! 1-1だから!!」

その声にベンチ前から顔を上げてスタンドを見やる出場選手たち。スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われていた試合は、1-1で推移した後半ATの劇的なクライマックスに向け、時計の針を進めていた。

ジョホール・ダルル・タクジム対蔚山現代戦は試合終了直前に両チームが共にゴールポストを叩く際どいシュートを打ち合う壮絶な展開に。それでもかろうじて保たれていた均衡が90+3分に破れる。時間的に見てラストプレーでのオウンゴールの決着だった。

スマホの画面を覗き込んでいたスタンドの選手たちは、その瞬間、短く言葉を発し、絶句して頭を抱える。ベンチ前からその様子を見ていた選手たちはすべてを理解した。

今大会、アディショナルタイムの運用に関してはかなり厳格で、これまでの試合を見るに、あの一連のプレーが途切れたタイミングで主審は試合終了の笛を吹いていたはず。

試合後に、「本当にラストプレーだったようです」とAFCの担当者から伝え聞いたが、それほどまでに際どく、フロンターレは首位通過を逃した。

すべての選手がバスに乗り込んだあと、鬼木達監督がミックスゾーンに姿を表した。まだ他会場の結果次第ではR16進出の可能性は残されていたが、鬼木達監督は敗退を前提に言葉少なだった。

「言いたい事はありますよ。だけど負けた(1位通過できなかった)のだから言うのはやめておきます」と一言だけ告げ、取材者の我々に感謝と労いの言葉を口にしてスタジアムをあとにした。黙して語らず。それが、鬼木監督の美学だった。

試合前日の蔚山現代のホン・ミョンボ監督は辛辣だった。試合前日の公式練習をスタジアムで行えないことに対し猛然と抗議。ホームチームが地の利を利用しているのだとしてAFCを批判した。そうやって自己主張するのは国際社会での当然の振る舞いで、それはそれで正しいやり方だとも思う。そうやって共に個性を見せた日韓のトップチームが大会を去ることになった。

そして、マレーシアのサッカー界にとっては歴史的な夜となった。

■環境の問題

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