中野吉之伴フッスバルラボ

スケジュールと一貫指導の関係性とは?選手のキャパシティを考慮する。指導者の枠にはめようとしてはいけない。

▼ 年間スケジュールを立てないと?

シーズンが始まる前に年間スケジュールを立てる。これはチームを預かる監督としては欠かせない作業だ。きっと多くの指導者が理解しているはずだろう。今回は、育成年代においての注意しなければならない点を考慮しながら、年間スケジュールについて考察してみたい。そもそもスケジュールは何のために立てるのか。

いや、少し視点を変えて考えてみよう。スケジュールを立てないとどんなことが起こりえるのか。目の前の練習や試合に集中し、そこで見られる課題に取り組んでいくだけではダメなのだろうか。

ある1人の指導者がいる。彼はいつも頭を抱えている。一生懸命練習させているはずだし、練習では精力的に問題の修正に力を尽くしている。決してレベルの低い選手たちではないのに、試合になると成果が出ない。何とかしようと、新しい問題点を見つける。それを直すためにトレーニングをする。でも気が付くと、いつも同じところをぐるぐる回っているだけになってしまっている。どうしたらいいんだ?

さて、一度この指導者の下でどんなやり取りがされているか想像してみてほしい。

月曜はDFラインからのビルドアップ、火曜はサイドからセンタリングしてシュートを繰り返す。木曜はセットプレーでの守備を集中して行った。例えば、こんな感じに一貫性のないテーマで練習をしていたら、選手の頭の中にどれだけのイメージが残るだろうか。

監督「おい!!その動き、この前の月曜日にやったことじゃないか!」
選手「えっと、どのシーンのことでしたっけ?」

月曜のトレーニングから発展したものが火曜の練習で行われて、というふうに継続性がないと、選手の頭の中からプレーイメージは消えてしまう。子どもたちが意識的、そして無意識的に「今日はサッカーのこういうことを学んだな」と持ち帰り、「この前学んだものがもっとわかった」と次の練習日で思えるように導いていく。そうした積み重ね方が成長には必要なのだ。

(残り 3087文字/全文: 3898文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ