中野吉之伴フッスバルラボ

トレーニングデザインは同じテーマを最低2週間は行い、年間で何度か同じテーマを振り返るようにプランニングする

5月の特集では、試合が「どんな流れからどんな展開が生まれるのか」というサッカーの全体的なメカニズムについて考察してみた。

サッカーの試合には様々な段階があることを理解し、多少なりとも頭の中で整理することができたならば、これまで取り上げた段階的なテーマを「どのようにトレーニングに落とし込むのか?」を考えるのが次のステップとなる。

5月の「初心者コーチのためのサッカー分析講座」特集では、サッカーの全体的なメカニズムとして「攻撃、攻撃から守備への切り替え、守備、守備から攻撃への切り替え」という4つの局面を、次のように大枠として段階的なテーマを設けて話を進めた。

1. ビルドアップ
2. ゲームメイク
3. チャンスメイク
4. ゴールメイク
5. ゲーゲンプレッシング
6. リトリート
7. 守備組織の整理
8. スライド
9. プレッシング
10.カウンター
11.ルーズボールへの対応

そこで、まず考慮しなければならないのが「スケジューリング」だ。つまり、選手が技術を試合で発揮するためのスキルの習得に向けては、ある程度の目安とする予定をあらかじめ作っておくことが大切だということだ。

「今日はビルドアップのトレーニングをして、明日はチャンスメイク。あ、プレッシングもよくないからそれは金曜日にしよう」

そうやって「あちこちにテーマがぶれてしまう」とトレーニングしている選手にはプレーイメージの積み重ねがなかなか生まれない。それはそうだろう。今日はビルドアップの練習をして家に帰り、そのイメージを持って次の日の練習に来たら、今度はその要素がほぼ0の状態で全く違うテーマの練習をする。

なんてことをしていた何が残るだろうか?

もちろん選手は何らかのことは学んだと思う。身についたとも思う。しかし、それでは多種多様な経験をそれぞれしているだけで、一つ一つがバラバラで切り離されたままだ。そこにつながりがなければ、選手のピッチ上でのプレーはどうしても流れていかない。

トレーニングとは「選手が意識的、あるいは無意識的に何かを学び、次につながるようにセットされるべき」だ。

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