中野吉之伴フッスバルラボ

チャンスメイクは横に「縦の展開」を組み込むべき。その場合、相手守備がゴールから近い時と遠い時とで仕掛け方を工夫する

「ゴールは真ん中にある」

当たり前のことだと思うだろう。ピッチを見てみれば、誰にだってわかる。ゴールはコーナーの脇にあるわけでも、センターサークルの中にあるわけでもない。選手に聞けば全員が同じ答えを返すし、間違えることなんて考えられない。でも、「ゴールがどこにあるのか」を、デットマール・クラマーも、ベルント・シュトゥーバーも何度も強調して話してくれたことがあった。

なぜなら「みんなゴールが真ん中にあることを知らないでサッカーしているんじゃないか?」と思えるようなシーンがそこら中にあったからだった。子どもたちの試合だけではなく、中学や高校、成人、プロの試合でも見られた風景だったからだ。それは「日本特有のこと」ではない。世界のありとあらゆるところで、ゴールを避けるかのように「ボールが外へ、外へ」と流れていく。あっちへ行き、こっちに行き、たまに思い出したようにゴール方向へとボールが運ばれ、でも相手の守りに対してまた引き返していったり来たりを繰り返す。

このことには、もちろん理由がある。

ゴールを目掛けて攻めようにも相手チームがいる。真ん中にゴールがあるなら、そこを塞ぐために、まず相手は真ん中から守ってくる。だから、不用意に仕掛けると取られてしまう。非常に論理的な話だ。

相手の守りをうまく避けながら、交わしながら攻めるには「サイドに起点を作ることが大切」になる。だから、前回の「初心者コーチのためのトレーニングデザイン」vol.3」では「サイド攻撃」について取り上げた。ただ闇雲にドリブルからクロスを上げるだけではチャンスメイクになり切らない。だからこそイメージとしてサイド攻撃からはまず「相手守備とGKの間スペース」、「ゴールラインとペナルティエリア角あたりのスペース」にボールを運ぶのが有効だと説明した。

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