中野吉之伴フッスバルラボ

試合形式の在り方が合っていなければ、どれだけ指導者と子どもがトレーニングで努力をしても解放された発展にはつながらない

サッカーの試合の在り方について疑問を持ったことはあるだろうか?

 「サッカーの試合をするよ」と言われたら、みんなゴールを設置して2チームに分かれる。ポジションをある程度決めたらスタートだ。では、そこで行われているものはどこまでサッカーになっているだろうか?

試合が始まる。子どもたちは動きながらピッチ上の様子から状況を認知して、理解する。そして、「どんなプレーができるかな?」と選択肢を思いつく。その中から「どんなプレーがいいかな?」と決断する。実際には、その「プレーをする」というサイクルでサッカーは成り立っている。経験を積み重ねることで「認知→判断→決断→実践」の各プロセスに必要な時間をどんどん短縮できるし、最終的には認知の段階から一気にプレーへとプロセスを飛ばすこともできる。

だが、そのためには小さい頃から一つ一つのプロセスをたどりながらアクションをすることが必要だ。特に最初の3つは頭の中で行われるわけだが、果たして子どもたちは試合やトレーニングの中でそれが実現できる環境でプレーしているだろうか? 実際のトレーニングはどう行われているだろうか? 試合ではどんな場面を目にするだろうか?

指導者が子どもに叫ぶ。

「違う!そうじゃない!」
「何度言ったらわかるんだ!」

あるいは、外から指示を連呼する。

「すぐに縦にパス!」
「左でユリアンがフリーだ!」
「相手が来てる! パスを戻せ!」

子どもはただ指導者が求めるプレーをしようとする。

「そうだ! それでいい」

指導者は満足げに腕組みをする。子どもたちはその後も一生懸命だ。指導者が指摘したミスは減った。だが、このプロセスから子どもは何を学んだのだろうか。エアランゲン大学のマティアス・ロッホマン教授はこう伝える。

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