中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】同じ街のライバルクラブである《フライブルガーFC》と《SCフライブルク》が明暗を分けた理由?

▼ フライブルクのサッカークラブ勢力図

今回はフライブルクにある2大クラブの歴史と関係性、それぞれの取り組みについて触れてみようと思う。

まず最初に《フライブルガーFC》と《SCフライブルク》を混同されている人が多いので、そのあたりを説明しておこう。

SCフライブルクは現在ブンデスリーガに所属しているプロクラブであり、フライブルガーFCは6部リーグ所属するアマチュアクラブだ。いまでこそSCフライブルクには大差をつけられているが、両者は長い間ライバルクラブとして競り合ってきた。

まずは、そのあたりの歴史から触れてみたい。

フライブルクにおけるサッカークラブといえば、長い間フライブルガーFCのことだった。この地域に最初にできたサッカークラブであり、創立は1897年。1907年には、ドイツ全国大会で優勝したこともある。

1935年にも日本でいう天皇杯にあたるDFB杯で準決勝進出。1977〜1982年まではブンデスリーガ2部に所属し、フライブルクにおける第一クラブの地位を確かなものとしていたのだ。ここからは非常に数多くの有名選手や監督が輩出されており、それこそ元ドイツ代表監督ヨアヒム・レーフ、現SCフライブルク監督クリスティアン・シュトライヒ、元DFB指導者育成インストラクター主任フランク・ボルムートらはみなフライブルガーFCのOBである。

そういったくくりでいうなら、僕も彼らと同じ《名門》出身の指導者ということになる。

一方、SCフライブルクの創立は1912年。フライブルクにあった小さな街クラブが二つ合併して誕生した。SCはスポーツクラブの意。つまり、こちらは総合スポーツクラブとして発生し、今もサッカーだけではなく、いろんなスポーツ部門を持っている。

ただ、当時フライブルクではビッククラブだったフライブルガーFCに比べると、小クラブの一つであり、両者の差は大きなものだったとかつての関係者が話をしてくれたことがある。

SCフライブルクはそれでも1979年にブンデスリーガ2部への昇格を果たす。しかし、スポンサーを獲得しようにも、メジャーどころはフライブルガーFCに取られ、金策もままならなかったという話はよく聞くところだ。

そんな当時、SCフライブルクからフライブルガーFCに「両クラブを一つにしてドイツの他地域クラブに負けないビッククラブを作らないか」という合併の打診を出してみたことがあったという。

だが、フライブルガーFCはこの申し出を断った。その理由として「なぜ我々がその話を受けなければならないのか。フライブルクで一番のクラブは我々なのだ。合併など必要はない」ということだった。

だが、両者のパワーバランスは徐々に変わってくる。

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