中野吉之伴フッスバルラボ

平川聖剛「チーム内で上の序列にいるかというとそういうわけではない…でも1年後2年後はわからない…」

 ▼中野「日本でさ、一時帰国してサッカークリニックや指導者講習会でトレーニングをするんだけど、日本の子どもたちを見ていつも思うのが、彼らが一番楽しそうなのは練習の前後なんだよね。自由時間!」

平川「そこでみんなで鳥カゴしたり、バー当てやったり」

中野「日本ってみんなすごく自主練するし、自主練したがるじゃない? 講演会とかやっても『どんな自主練習をすると成長できますか?』っていう話をされる。で、オレとしては『いや、チーム練習以外に追加で練習なんてしないで、サッカーやりたいならみんなでミニゲームとかして楽しんでくださいよ。それが一番大事です』って答えてきてるのね。でも、いま話していて思ったんだけど、チーム練習でどれだけのことができているかがすごく大事なんだなって。チーム練習で学ぶものがあまりなかったりするんだったら、むしろ自主練習の機会や時間というのは奪ってはいけないものなんじゃないかなって。

そこでしか彼らがサッカーの楽しさと向き合うことができないんだったら、むしろその時間こそが多くの日本の子どもたちにとってかけがえのないところなんだなって。正直そんな現状だったら、『じゃあ、自主練習に全力で取り組めるように、チーム練習はうまく力を抜いてやってくださいね』というのが正しいアプローチになってくる。選手の立場からしたらそれが事実なんじゃないかな」

平川「だからやらない方がいいよとは言えないというふうになってしまう。その時間がなかったらサッカーをやってる意味がないくらいの感じかもしれないですもんね。でも、本当にそう思いますよ。大学時代にそうでしたけど、チーム練習時は監督のいった練習をやる。でも、僕はこういうプレーヤーだからこういう練習した方がいいというのは自主練習でしかできない。チーム練習時には自分のプレーとかを考えずにやっていたなと思います。自主練で自分のプレーを理想像に近づけていく感じだったなぁ。自主練習を続ける選手はうまくなってましたもん」」

中野「でもそれだとさ、チーム練習はいらないじゃないかって話になってしまう。自主練だけをやらせて、あとは試合環境だけ整えてあげればいい。ツイッターで一度中学生の子に質問されたことがあって、『毎日同じような練習しかしてないんですけど、これって大丈夫なんですか?』って。『いや、大丈夫じゃないよ』って答えたよ。チームでまとまってランニングして、柔軟して、基礎練して、パス練して、ポゼッション、シュート練習、ゲーム。それは選手も『いや、もっと他のことがやりたいって思うよね』

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