中野吉之伴フッスバルラボ

元プロサッカー選手で、現在はドイツで指導を学ぶ「金井拓也」にインタビュー!

 第三弾はヨーロッパリーグでも短時間ながらプレー経験のある金井拓也(26)に話を聞いた。

 彼は元プロ選手だ。リトアニアリーグのジャルギリス・ヴュルニュス時代にはリーグ優勝を経験し、ヨーロッパリーグ予選でも短い時間ながらプレーをしたこともある

彼と知り合ったのは2年ほど前。京都で学生向けに行った講演会がキッカケだった。参加者は10名弱。こじんまりとしたセミナールームで、私は海外生活について話をした。講演会後、知り合いの店に「みんなで飲みに行こう」と誘った。帰り際、参加者みんなが「ありがとうございました。楽しかったです。またよろしくお願いします!」と言って去っていく中、彼だけが声をかけてきた。

金井は、私に「ドイツで指導者の勉強がしたい」と熱く語ってきた。ある日、「ドイツの指導者ライセンスについて教えてください」と連絡があった。私はドイツサッカー協会の該当ページURLを教え、「ここにある内容を自分なりに辞書を引いて調べてみてください。可能な限り自分でやってみて、その後わからないことがあったらまた聞いてください」と返信した。

みなさんだったらどうするだろうか? そこに労力を費やすだろうか? 私からの要求は簡単なものではないし、捉えようによっては意地悪と感じる人もいるかもしれない。だが、金井はそれをやってきた。それもなんとなくではない。びっしりと調べた内容が書き込まれてあるノートを片手に、「ここのところがわからないんですが」と聞いてきた。

私に質問をしてくる人はたくさんいる。

うわべだけの質問で「ドイツってどうですか?」「チーム紹介してもらえませんか?」というのも結構来る。毎回私は「あなたがどういう人で、何を考え、どうしたくて、何を求めているのか。可能な限り具体的に書いて、再度連絡をください」と返事をする。

ほとんどの人は返事をしない。

たぶんそれが普通なのかもしれない。でも、私の返信に対して自分なりに頭を使い、時間を使い、真剣に返事をくれる人に対しては、「いつでも真摯に受け答えする」ようにしている。そうした心意気のある人の中でも、金井のこの心構えには素直に感心した。いろいろとサポートしてあげたいし、一緒に飲みながら話をしたいと思わせてくれる人柄を持っている。

今回はそんな金井とのインタビューを私も楽しみにしていた。

金井「いま知っています? うちのクラブの実情。結構こっちのメディアでも報じられたんですけど」

中野「え? なんかあったの?」

金井「クラブの運営が行き詰まっていて、結構危ない状態だとか」

中野「そうなの?」

金井「スポンサーがつくんですけど、そことケンカして、合わなくて、お金がなくて、給料未払でみたいな」

中野「それはカオスだね。。。でも、そういう状況だと育成の方も回らなくなるよね」

金井「そうですね。でも、僕らはもともと給料微々たるものだし、去年もそういう似たような経験をしてるんで、ずっと続いてるんです。ただ、今回は本当にヤバい、みたいな。本当にお金が入らないみたいで」

中野「これまでも何かありながら、何とかなってたから…」

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