中野吉之伴フッスバルラボ

金井拓也「うまくさせようとかじゃなくて、どうやったら選手らが躍動するかなって」

中野「クラブでコーチ会議はやってるの?」

金井「全然ないですね」

中野「それもないの?」

金井「無茶苦茶っすよ。いい意味でも悪い意味でも好き勝手にできる」

中野「じゃあ、一番学んでることって何?」

金井「自分のやってることですか? 今シーズン、3月からBライセンスを取るんです。いまアシスタントっていう形なんですけど、でもほとんど全部練習も見て、選手選抜も含めてミーティングで話してってやってるんですよ。もう一人の方もめっちゃ若いんで、2人で全部一緒にやろうみたいな感じでやってて。チームをどう導いたらいいのか、どんだけいい練習しても、やっぱり人として尊敬されなかったらもう全然ついてこない。

でも、彼らは僕らが本当にまずお手本として言うだけじゃなくて、常に背中で見せ続ければ、それを常に見てるわけじゃないですか。そうしたら彼ら自身も変わろうとしてくれるし、やっぱり僕らが変えようとしても変わらないじゃないですか。自分が自分自身に向き合って変わるしかないじゃないですか。

最初は本当に全然自分と向き合わない選手が多くて、ちょっとダメだったらすぐ文句を言ってたし、合わない。で、もう一人のコーチもモロッコ系の人で、結構適当なところあるんですよ。すぐ怒鳴ったりして。それで結局信頼を得られなくて。だから、いつも話し合って、ただ言うんじゃなくて

僕たちがちゃんと態度で見せなきゃいけないと言って、ちょっとずつ変わっていきました。前期の最後の試合が上位相手だったし、その前の試合も相手2位だったんですよ。僕らはあんまり調子良くなくて、下の方にいるチームでした。いつもだったらある一人のフォワードの選手は常に文句しか言わなくて。それが文句言ってもやるんだったらいいんですけど、文句だけしか言わない。

でも、ちょっとずつ変わっていって、練習中でも常にポジティブな声を出すようになってきました。ちょっとうまくいかなくてもすぐ切り替えてまた連続でやって、2位相手に失点しちゃったけど、それでもその選手はすぐ切り替えて、『気にしなくていいからやろう』っていって、最後まで戦ってくれました。結局、最後終了間際にその選手ゴールを決めて同点に追いついて、『すごいなあ』って。『サッカーの神様っているんだな』って思いました。ちゃんとやってなかったら、ロスタイムに失点くらうし勝てないし、やっぱりちゃんとやってた子はこうやって最後…ゴールじゃないですけど、見ててくれてるんだなって」

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