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中野吉之伴「子どもと育つ」

4対4のミニゲームをどれだけアレンジできるだろうか?【トレーニングメニュー05】

何かいいトレーニングメニューないですか?

こんな質問をされることがある。そういうとき、いつも思う。いいトレーニングメニューって何だろう? フワッとしすぎてない? そう思いながらも「こんなのどうですか?」と紹介する。すると、「あー、それもいいですよね。今後やってみます」と言われ、しばらくしたら「やってみたけど、なんか違いました」と返事が届く。

どんなメニューだったらいいのだろか

年代別、習得別、段階別な戦術的なテーマがあって、最適な負荷で、最適な時間、最適な人数と最適な広さで、技術要素、フィジカル要素、メンタル要素、思考要素が最適なバランスで組み込まれていて、そこにコミュニケーションを取りあえるゲーム的なルールが加わって、一過性ではなくて、次につながるようにプログラミングされていて、自分たちの練習場でも、少ない用具でも、ゴールがなくても、指導者経験が少なくても再現可能なメニュー?

そんな魔法のようなメニューやメソッドなんて存在しない。でも、魔法のようなメニューがないとサッカーがうまくならない、楽しくならない、ワクワクしないなんてことはない。ありきたりのメニューでもバリエーションを与えることで、それぞれの戦術、技術、フィジカル、メンタル、思考成長段階に応じたトレーニングにすることはできる。結局のところ、大事なのはこのバリエーションのつけ方だと思う。

例えば、オーソドックスな4対4のミニゲームをやるとする。ここからメニューにどれだけアレンジを加えることができるだろうか。いくつか考えてみよう。

【アレンジ方法01】ボールタッチ数

1.ボールタッチ数を制限する

▼2〜3タッチ以内
判断、戦術的なポジショニング、パスを出した後の動きが求められる。タッチ数が少ないルールでいいプレーができないのは、「自分だけで何かをしようとしている」から生じてしまう問題だ。「ドリブルができない」と文句を言う選手もいるが、ドリブルとは自分一人でボールタッチし続けることではない。タッチ数を仲間と共有してボールを運ぶのもドリブルの効果を持っている。自分が3タッチをして、味方に渡し、またもらい直せる位置にすぐ動くことができたら、続けてまたボールに触ることができる。パスを出して足を止めておいて「ドリブルができない」と言うのではなく、このルールの中でできるプレーを見つけることが大事なはずだ。

2.ボールタッチ数を固定する

▼必ず2〜3タッチ
ダイレクトパスを使えないので、「ファーストタッチをどこに運ぶか」が非常に重要になる。ファーストタッチをうまく処理するためには、事前に周囲の状況を把握しておかなければならない。どこのスペースに運べるか、運んだら誰が受け手になれるか、相手はどう守ろうとしているのか。ファーストタッチを見せ球に使う、つまりわざと足下に止めたり、ちょっと右方向に動かしたりして相手を誘い、その逆を狙おうとする際も、その後の目的がないままやったら相手に詰め寄られてしまう。そういうことを判断しながらプレーすることで、スペースやまわりの選手の位置取りにより気を配れるようになる。

3.リターンパス禁止

▼パスを出した後そのままリターンパスを受けてはNG!
「とりあえずリターンパス」からでは、その後の動きが生まれない。回りの選手がパスをもらうために動かないといけないし、パスを出した選手がその後の動きのためにポジショニングを変えていくというのが求められる。「もっと動け」とは簡単にいえるけど、動くことが目的ではなく、ただがむしゃらに走っているだけでは自分たちが有利な状況を作れない。相手が守りにくい状況を作るためにポジションを変えて、ずらしていくことが大切で、そのために動こうというアイディアがあることが必要。


※1.縦長にする

【アレンジ方法02】ピッチサイズ・形を変える

1.縦長にする

横幅が狭いピッチで選手が固まると何もできなくなってしまう。まず、縦幅を広く使ったポジショニングをとることが大事。そして、縦パスをうまく引き出すことが求められる。縦にパスが通った後は、そこからさらに前へ抜け出していく動きが必要だ。縦パスを起点にサポートする動き、抜け出していく動きを積極的に行いたいし、指導者は選手に促したい。逆に守備側は縦パスのコースを切りながらうまく相手をはめ込んでいく組織的な守り方をしたい。

2.横長にする

横の揺さぶりをベースにスペースの使い方を学ぶ。イメージとしては守備ラインからのビルドアップという狙いで取り入れることもできる。「横パスを回すのは何のためにするのか」を考えるのが大切だ。横にパスを展開しながら相手守備がズレたり空いたりしたところに顔を出してパスを引き出す。

3.ひし形にする

ゴールラインまで持ち込むことができないので、直接ゴール方向へのプレー精度がより要求される。相手が守備を固めているところに攻め込むので、パスの精度とスピード、相手からマークを離すタイミングが大事になる。斜めのパス、走り込みをうまく取り入れながら、狭い局面でもスペースを作り出したい。

1.4つ角にフリーマン

【アレンジ方法03】フリーマン

1.4つ角にフリーマン

よくある現象として見られるのが、フリーマンのいる付近に中の選手がポジショニングを取ってしまい、パスコースをつぶしてしまうこと。すでにそこにパスコースがあるのだから、その次の展開を考えたポジショニングを取ることが望まれる。味方のためにスペースを空け、その次のパスを引き出せるスペースを探していく。

2.ゴール脇にフリーマン

「試合では、ゴール脇に選手がいないから論理的ではない」という指摘を受けがちだが、私個人としては全く問題ないと思っている。局面として考えたら、ゴールライン付近まで持ち込んでからの折り返しというプレーは普通に起こりえる。その状況でどこに走り込むべきか、どこから顔を出すべきかを意識しながら取り組むことができる。パスを出した後、ゴール方向へのスピードが大切になるのも大事な要素だ。また、状況を別に考えてビルドアップからFWへの縦パスをイメージすることもできる。パスを回しながらFWにパスを当てて、そこからMFがパスを受けるプレーだ。

3.ピッチ内にフリーマン

数的有利な状況をうまく利用するべきなのだが、せっかくそうした状況なのに不用意なドリブルでボールを失うのはあまりにももったいない。数的有利な状況でプレーする際に一番大切なのは最終的に「1対0」の状況を作り出すことだ。完全にフリーな状態で相手を引き出し、またフリーな状況の選手がプレーをつないでいく。「何のために」という意味を知る機会を作ることが大切だ。

3.ミニゴールをピッチ内に逆向きに設置する

【アレンジ方法04】ゴールの位置と数

1.ミニゴールが4つ

ミニゴールが4つのミニゲームは特に低学年に有効だ。子どもでも大人でもまず意識が向くのはボールであり、ゴールだ。そこに人が集まってしまうのは自然現象とも言える。だから、そこにもう一つ意識を向けられるものを用意すれば、相手が守ろうとしているエリアの逆を狙う動きが少しずつ見られるようになる。継続的に取り入れていけば「団子サッカー」は自然に解消される。

2.ミニゴールをピッチ内に置く

これはフォルカー・フィンケがSCフライブルク監督時代によく行っていたトレーニングだ。アイスホッケーのようにゴール裏のスペースを使ってもいい。ミドルシュートを禁止するほど、パスをつないで攻略することにこだわっていたフィンケが「深く攻めて折り返し」という狙いを持てるようになるために取り入れていた。

3.ミニゴールをピッチ内に逆向きに設置する

ゴールの向きを逆向きにするということは、反対側までボールを運ばなければならない。そのため、スペースへの縦パスが多く出るようになる。スペースへ走り込むのとパス出しのタイミングが要求される。また、ミニゴール4つで行うと、どこのコースに走り込むべきかに選択肢ができるので、また違った戦術的負荷がかかる。

 

このようにゴールの位置を動かしたり、ボールタッチ数を制限したり、ピッチサイズや形を変化させたりするだけで、全く違う要素が要求されるし、それでいてゴールを置いてのミニゲームなので、選手にとってはいつでも興味を持って取り組めるメニューになる。

横長ピッチ+ミニゴール4つ+フリーマンゴール脇+リターンパス禁止のように、上記で挙げた要素を組み合わせるのもおもしろい。指導者がアレンジ方法を身につければトレーニングはいくらでもバリエーション豊かにすることができる。

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