中野吉之伴「子どもと育つ」

1.FCケルンの元育成部長を務めたクラウス・パプスト氏に話を聞いた。【3月インタビューvol.1】

▼誰でも親なら理想的な育成現場を求めようとする。

でも、理想な育成現場とは何だろうか。環境がある程度そろっていて、指導者がみんなある程度経験と知識と人間性があって、ある程度理解のあるチームがまわりに集まっていて、ある程度レベルが均衡していて、ある程度保護者の理解があって…。でも、そうしたものが『ある程度』すべてそろっているクラブというのは、どれほど今の日本にあるのだろうか。どこも多かれ少なかれ悩みを抱えている。だから結局、理想は既存のものではないのではないかと思うのだ。「志を同じくする仲間と作り上げるプロセスを持てることが理想なのではないか」と。

そういう点で『育成』のイメージを共有できるかどうかは大きな意味を持つ。どんなふうに子どもに育ってほしいのか、子どもはそもそもどのように育つのか。3月のインタビュー企画では、ブンデスリーガクラブの『1.FCケルン』で育成部長を長く勤め、ケルン体育大学でも教壇に立ち、ケルンで最初のサッカースクールを設立したクラウス・パプスト氏とのディスカッションを紹介したい。

中野「クラウス、今日はまた育成についての話を交わしたいと思うんだ。日本の育成現場の話になるけど、やっぱりまだ厳しさを求める傾向が強い。長時間のトレーニング、休みのないスケジュール、週末には試合が一日に何試合も普通に行われている。熱心といえばそうなんだろうけど、熱の持った生き方がズレてしまっていると思うんだな」

パプスト「キチ、私も何度も日本に行ったことがあるからそうした話はよく聞くよ。みんなプロ選手になろうと、みんなをプロ選手にしようとでも思っているかのようだな。でも、子どもたちがなんでサッカーをしに来ているのかを忘れてはダメではないかな?」

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