今夏のJリーグ移籍市場の深層をベテラン代理人が明かす(J論)

中野吉之伴「子どもと育つ」

クラウス・パプスト「僕らがまず重要視しているのは常識ある子を育てること」。【3月インタビューvol.2】

▼3月のインタビューはブンデスリーガクラブ『1.FCケルン』の元育成部長パプスト・クラウス氏。

彼はアクティブで朗らかで親切な人だ。基本、時間に正確で遅刻をしたりしないのだが、たまに約束の時間にいないことがある。今回、約束通りに待ち合わせ場所に行くと「あれ、珍しい」と思う展開。しばらく待っていると、数分後にジョギングを終えたクラウスが笑顔で戻ってきた。

「天気がいいから走ってきたよ」。

彼は選手とも常にそうしてニコニコとコミュニケーションをとっている。たわいのない会話から学校でのこと、ブンデスリーガ、そして選手個人の話。話題が豊富で尽きることがないようだ。うらやましい。私自身も選手とのコミュニケーションを大事にしているが、得意かといえば正直そうではない。苦手なところもある。どちらかといえば、私は人見知りのカテゴリーに入るので、世間話がどうにもうまくできない。最近は多少のプロテクトスーツを着込むことで、仕事モードを発動させることもできるようにはなってきたが、まだまだ自然体とまでは言えないところ。

特に子どもたちを相手に、小手先のテクニックは通用しない。相手に軽口をたたいてもらえるくらいの信頼関係、それでいてトレーニングとなったらしっかり気持ちを引き締めて取り組むことができる空気感を作り出す。簡単なことではない。いまでも全くうまくいかないときがある。だからこそ、互いの波長も呼吸もバッチリ合って、それが連動して「大きな力になって」という日があると、すばらしい気持ちになる。そうやって選手も指導者も一緒に関わり合って共に成長していくものなんだと思うのだ。

さて、インタビュー後編へ。

中野「以前からそうだったけど、特にロシア・ワールドカップのころから『ジャパンズ・ウェイ』という言葉が聞こえてくるようになってきたんだ。というか、サッカー協会が強くアピールしているという印象を受けている。日本はずっと『自分たちのサッカーとは何か』を探しているところだと思うんだけど、果たしてそれを求めることにどれだけ意味があるのかは考えなければならない。

例えば、日本人はフィジカルに差があるから『1対1の体のぶつかり合いで勝てない』ということをよく口にするよね。じゃあ、その対策をどのように考えるのかが大切だ。ぶつかり合いに勝てないからぶつかり合いを避けようとするアプローチは対策ではないと思うんだ」

パプスト「その通りだね。僕がいつも思っているのは、勝つために最終的に必要なのは自分たちの長所だってことなんだ。短所を直すことも大事だし、ほったらかしにしておいてOKということはないよ。でも、短所を直すことが勝つことにつながるかというとそういうわけではない。相手を上回れる部分がなければ難しいからだ。だから、長所で短所を補えるようにならなければならないと思うんだ。

その事象から逃げることは賢くはない

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