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中野吉之伴「子どもと育つ」

中野「遊具を使って遊ばせて、夢中になってできていてというのも一つの正解例だと思う」

 ▼インタビュー第二回は、まず梅村拓未くんが留学する「ハイデルベルク・バルシューレ」の説明から始めたい。

バルシューレとは、ハイデルベルク大学のクラウス・ロート教授が発案したスポーツプログラムのことだ。私は昨年、SCフライブルクが主催する指導者講習会で理論と実践を学ぶ機会があった。現在の子どもたちは、日常生活の中で十分な自由活動の時間がとりにくい状況にある。ドイツでも「外で遊べ」と言っても、遊べる場所がなかったり、やれることが限られていたり。だが、子どもたちが自然に遊ぶ中で培い、学んでいくことは非常に価値のあるものだ。だからこそ、その場所がないなら作っていかなければならない。バルシューレの基本的な理論はそうした考えから生まれた。

【バルシューレで主に大事だとされている4点】

1.子どもの成長にあったアプローチ

「子どもは小さな大人ではない」

 2.多様性を身につける

「子どもはオールラウンダー。いろんなことができる。スペシャリストを強要しない」

 3.遊びながら学ぶ

「学ぶのではなく、自分で試せる環境を」

 4.喜びを分かち合う

「遊びが子どもを育てる」

バルシューレは12歳以下の子どもたちに推奨されているプログラムとされており、特に6〜10歳までの子どもにとって大事な要素が網羅されている。サッカーだけでなく、ボールスポーツならば何でも、スペースの認知と活用、仲間と相手の位置関係の把握ということが重要になる。だから、ボールを手で使ったり、足で使ったり、バットやラケットを使って遊ぶことで、様々な身体能力を身につけることができる。

そして、何より子ども同士で遊ぶ中で自然な人間関係や交流の仕方、コミュニケーションのとり方を学んでいけるわけだ。自由にプレーすることをサポートし、自ら学び体験する機会を作り、ミスを認め、それも大事な体験と捉える。さらにミスを取り返すチャンスも場所もあることを知る。それが大切なのだから。

そうすることで、長期的に子どもたちが喜びをもってサッカーと、あるいは様々なスポーツと向き合っていくことができる。そのスポーツを愛し続けてもらえるために、いま自分たちができることは何か。その問いは常に自分の中で持ち続けてなければならない。

さて、簡単なバルシューレの説明を終えたところで、梅村くんとのインタビュー後編をお楽しみいただきたい。

梅村「ハイデルベルクのバルシューレでいろいろ勉強させてもらっているんですけど、やっぱりドイツでも指導者の方によっていろんな差が出てきてしまうんですね。一年しかバルシューレでやってない指導者はアイディアで子どもがおもしろそうなものを作ったりするんです。跳び箱を使ったり、大学の体育館にいろんな設備はあるのでそれを利用したりして。でも、4年くらいやっている指導者は、これを使うとこんな効果もあるみたいな準備ができているんですね。例えば、何かで滑り台のようなものを作っておいて、『滑り台として置いているんだけど、逆によじ登ろうと遊ぶことでそのための能力をつける仕掛けにもなっているのよ』ということを話してくれるんです。『狙い』というのがバルシューレの指導者の中でもかなり違うな、と。狙いもあってわかりやすく説明することができて、この年代ではこういう能力がつきやすいことも言える、というのがバルシューレとして。ただその若い指導者がやっているみたいな、ただ遊ばせているだけの状態だと、悪い面になってしまうのかなと」

中野「でも、ただ遊ばせるだけでもいいんじゃないの?」

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