プロ野球ファンがユニホームを来て野津田に大集合(J論)

中野吉之伴「子どもと育つ」

モラス「育成や女子チームにだけじゃなくて+αで社会のための活動をしているクラブもたくさんある。でもみんな知らないから結局バルサとかバイエルンを語りだす」

▼モラス雅輝さんと会うのはもう何年振りのことだろうか。

5月26日、ミュンヘンからバスでインスブルックに到着。中央駅で少し待っていると、見覚えのある姿が軽やかに現れた。モラス雅輝さんと最後に会ったのは、ヴァッカーインスブルックのスタジアムを案内してもらったとき以来。レストランで食事をしながらお互いのことをいろいろ語り合った。そういえば、モラスさんがSVホルンでコーチをしているときに、ちょうど本田圭佑選手の取材で訪れ、彼のトレーニングを見学したことがある。「自由さと緻密さがバランスよくとれたいいトレーニングだな」と感じたことを思い出す。

しばらく会わない間にモラスさんは、他の日本人ではなかなか経験できないすばらしいキャリアを着実に積んでいた。オーストリアのブンデスリーガ・リーグ機構のスポーツマネージメント・アカデミーにアジア人で初参加し、初の合格者。その後もオーストリアの名門クラブであるヴァッカーインスブルックの育成部門で活躍し、2017〜2018シーズンには、女子トップとセカンドチームの監督兼スポーツディレクターとして敏腕を振るった。欧州のプロクラブでそれだけの仕事を任され、そして、結果も残す。結果だけではなくて、そこへのプロセスがクラブの求めるものと合致していたからこそ、評価もされる。

対峙したときにモラスさんから醸し出される空気はとても柔らかでのびやかだと感じた。そして論理的で、かといって押しつけがましくない話し方からは多くのイメージが強い説得力をもって私の頭と心に飛び込んでくる。本当に、とても刺激的で実りある時間だった。

当初は、そんなモラスさんの現在地を取材するためにインスブルックを訪問したのだが、取材後フライブルクに戻って数日経った頃に、日本からのビック・ニュースに驚かされた。モラスさんがヴィッセル神戸のアシスタントコーチに就任させるとのことだった。そんなことは思いもしなかったが、一方で、モラスさんと監督のトルステン・フィンクが「日本でどんな仕事をするのか」ということは楽しみで仕方ない。

モラスさん関連の記事はフットボールZONEで書かせてもらっているので、このWEBマガジンでは彼と交わした何気ない、でもどれもとても興味深かった会話の一部をお届けしようと思う。では、ご一読を。

中野「私もフライブルガーFCに戻って、無事に1シーズンを終えました。いまでこそSCフライブルクとフライブルガーFCとの差はもうひっくりかえせないほど大きくなってしまっていますけど、元々は全く逆の立ち位置でしたからね。SCフライブルクからフライブルガーFCに対して「合併しようか」という話があったほどでした。でも、当時はフライブルガーFCの方が断ったんですよね」

モラス「昔一回ヨアヒム・レーヴ(ドイツ代表監督)がまだSCフライブルクでプレーしていた頃に何かで1980年代特集を見たんですけど、『その頃はSCフライブルクの方があまりにも状況が厳しくて観客も全然来ない。フライブルガーFCといういう強力なライバルがいるんだから、そもそもSCフライブルクって二部に必要なんだろうか? 同じ町に二つのクラブがいるんだろうか?』という話が載っていましたからね。

いや、本当にどうなるかわかんないですよね。フランクフルトのFFC(女子の名門)も経営的に本当に危なくて、アイントラハト・フランクフルト(長谷部誠選手の所属クラブ)に『合併してくれ』ってお願いしているんです。でも、アイントラハトが断っているんですって。スポンサーを見つけるのも大変だろうし。フライブルガーFCには子どもは集まってきています?」

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