中野吉之伴フッスバルラボ

日本の小学生年代が行っている8人制は果たしてサッカーなのだろうか?

 6月21日から日本に一時帰国している。

今回は東京から動き出すのではなく、関西国際空港を起点にイン・アウトを繰り返してスケジュールを組んでみた。ここまで1週間強で岡山、岐阜、北上、盛岡、加茂、寺泊、新潟と各地を回っている。ところ変われば考え方も受け止め方も変わってくる。その土地土地に昔からの生活があるわけだ。立地、環境、規模、地域性。土地柄とサッカーは当然のように関連性が出る。だからこそ実際にその地に足を運び、現地の人たちと触れ合い、話をし、当地の問題点を聞き、当地の強みを探り出し、今後に向けてどんなことができるのかを考えていくことが大事だと思う。私からの一方通行では意味がない。どれだけ立派なことを言っても、伝わらなければ、現場で生かすことができなければ心にとどまるはずもないのだから。

今月は一時帰国中に訪ねた活動地の中で、私が特に関心を引いたところ、「なるほど」と思った皆さんからの指摘、あるいは直接送っていただいた質問を取り上げ、それらを掘り下げてみたい。

講演会の内容は各地で一緒ではない。主催者からの要望を聞きながら、参加者が知りたいという内容に可能な限り応えることできるように毎回調整している。とはいえ、すべてが違う内容ではなく、どこでも私から伝えたい共通のテーマもある。

例えば、ドイツのスポーツ環境、育成における取り組み方、「認知-判断-決断ー実践」のプロセスの大切さと、そのための年代に応じた最適な試合環境について話をさせてもらっている。「日本の現場環境はいま、子どもたちが成長するために必要な要素をどれだけ整えられていますか? どのように整えようとしていますか?」。そんな問いかけをしながら、参加者にも自分なりに現在の課題と解決策について考えてもらうことを試みている。

なぜ問いかけるか。

それは、現時点ではまだ順調に整理されていると思えない点があるからだ。いくつかの講習会の最後の方で一つのスライドを見せた。私からの大きな疑問だ。

「ハチニンセイって何ですか?」

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