中野吉之伴フッスバルラボ

日本の子どもはあまりにスケジュールを詰め込み過ぎではないだろうか

 この原稿はドイツへと戻る機上で書いている。

6月21日から7月9日までの19日間はとても濃密だった。体調を崩すことなく、そして、天候に左右されることなく、すべての日程を無事に終了できたことを喜ばしく思っている。梅雨時期の活動ながら、ちょうど私が訪問した日だけうまく晴れてくれたり、雨の日は体育館をおさえていた日だったりと様々なものがうまくかみ合ってくれた。

今回は東京滞在わずかに3日。

岡山、岐阜、飛騨高山、北上、紫波町、盛岡、一関、加茂、寺泊、与野、聖籠、新潟、日野、岡山、新大阪と、東西南北を縦横無尽に移動して全15会場でクリニック・指導者向け講習会、保護者向け講演会など合計26セッションを精力的に行った。すべて全力で挑んだ。正直、私の話がちゃんとみなさんに響くだろうかと考えることはある。胡散臭いと思われたり、よくわからないと眉間にしわを寄せられたりすることだってあるだろう、と。日本でなじみがない話ならばすぐにピンと来ないことは、こちらも重々承知している。それでも動いていかなければ、響くところにも響かない。こちらが働きかけていかなければ、小さなさざ波も立たない。だから、やれることを少しずつでも、時間をかけてずっとやっていこうと。

一人では何もできない。各地で私の活動をサポートしてくれるみなさんがいるからこそ、自信を持って自分の情熱を言葉に変えていくことができる。基本的に多くの方々がとても熱心に話を聞いてくださり、どの会場でもたくさんの質問が出てきてくれ、それが生きた交流へとつながっていったのではないかと感じている。ポジティブなフィードバックをたくさんいただけたことは素直にうれしい。今回お世話になった皆様方、本当にどうもありがとうございました。

さて、今回は滞在中にあらめて気になったことを書こうと思う。

私はこれまでもコンディションの大切さについてよく話をしている。体だけではなく、心、頭、人間関係におけるコンディションがあり、そのためにはケアをする時間と環境が必要不可欠だと強調している。ただ、日本ではトレーニング頻度や負荷バランスについての情報がまだちゃんと入ってきてないのだろうか? あるいは、ただ重要視していないのだろうか?

「週に7回練習をしています」

「週末に何試合も組んでがんばっています」

そんな声をいまでも多く耳にする。なぜだろうか? そんなにやれば、当然のように体は限界を訴える。日本では、小学生が疲労骨折をする。成長痛で苦しんでいる。それが別段不思議な話のように受け止められないことの超絶さ。そんな話をドイツやスペインでほとんど聞いたことがない。

(残り 2020文字/全文: 3107文字)

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