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中野吉之伴「子どもと育つ」

憧れの人工芝グラウンドがピンチ!環境とサッカーの話

【8月16日/加筆・訂正いたしました】

こんにちは。管理・運営担当のゆきのです。8月も中盤にさしかかりましたね。

夏休みを迎える前、子どもたちは学校から新学期に使う学用品リストをもらってきます。各教科のノートやファイル、年齢に合わせた筆記用具や、図画工作の道具など。毎年新学期前には、このリストを持ってウロウロする親子連れで文具コーナーは混雑します。

私が、すごくドイツらしいなあ…と思うのは、環境に配慮したものを購入することが推奨されていること。市からも学校からも、保護者に向けてなるべく次のような製品を買ってくださいとお知らせが来ます。ノートは古紙100%であること、ペンや絵の具は詰め替えができること、パッケージのゴミがなるべく出ないものを選ぶこと、リサイクル可能な素材や容器であること、丈夫で長く使える品質のものであること、などなど。国や企業や自治体による大規模な取り組みから、個人の小さな取り組みまで、様々なレベルで環境問題に向き合い続けるドイツ。子どもが毎日使う学用品も例外ではないということです。

この環境問題、もちろんサッカーとも無縁ではありません。下の記事は今年6月のフライブルクの地元紙・デア・ゾンタークの一面(部分)。人工芝のグラウンドに暗雲?という見出しです。多くの人工芝グラウンドで使用されているプラスチック素材が、EUで近く禁止され、新たな自然素材に切り替えを求められる見通し、という内容です。

長い冬の間、ドイツでは雨や雪の日が続き、日照時間も短いため、屋外スポーツは練習場所の確保が大問題になります。体育館で練習したくても、ハンドボールや卓球や体操など、元々屋内で行われる競技との調整は簡単なことではありません。冬期の練習時間は普段の半分以下になってしまうこともよくある話です。

そこで各サッカークラブは、水はけがよく、少々の雨や雪でも使用できて、夜間用の照明も完備した人工芝のグラウンドを次々に設置するようになりました。州や市町村からの多額の資金援助に加え、各サッカークラブそれぞれがスポンサー集めや資金集めに尽力し、従来の土のグラウンドが次々に人工芝に生まれ変わりました。2019年現在、ドイツサッカー協会とドイツオリンピックスポーツ協会に登録されているものだけで、ドイツ国内には約5000カ所の人工芝グラウンドがあるそうです。

息子たちのクラブでも、チーム運営陣、コーチ陣、そして保護者が一丸となって資金集めに奔走しました。クラブ主催のサッカー大会で飲み物や軽食を販売したり、スポンサーを探してチームで宝くじを作って売ったり。もちろん私もチームの保護者の一員として、ささやかですが協力させて頂きました。念願叶って新しく敷かれた人工芝の上で、子どもたちがさっそくボールを蹴ったり、子犬のように転がったりするのを見たときには、大人一同本当に胸が熱くなりました。

そうやって手に入れた憧れの人工芝グラウンドが、環境汚染の原因になってしまう、というのは非常にショッキングなことです。先ほどの新聞記事によれば、土の代わりに人工芝の根元に敷き詰められているのは、古タイヤなどを原材料とする顆粒状の人口土。グラウンドを使用するたびに舞い上がりますし、雨や風でも周囲に流出します。サッカーをするご家庭なら、きっと靴下にからみついた人工芝の繊維にイライラした経験がおありだと思いますが、これも洗い落とすと下水に乗って海に運ばれてしまいます。これらがマイクロプラスチックとして環境に影響を及ぼしてしまう恐れが高いため、EUは2022年頃までに、この人工土を使用したグラウンドを禁止する見通しで、現行の人口土をコルクなど天然素材のチップに敷き替えるなどの対策を求めています。もっとも安全性の高いのは、もちろん人工芝ではなく、冬の悪天候下でも耐えられる品種の天然芝だそうですが、いずれにしても、多額の投資をして設置したばかりの人工芝を、また敷き直していくのは簡単なことではありません。市町村レベルや州レベルでは少しずつ対応が検討され始めていますが、実際に各クラブが対応できるようになるまでには、かなり時間がかかるのは間違いないと思います。

子どもたちが思い切りサッカーを楽しめるのも、安心して暮らせる環境あってこそ。スポーツ施設の充実と、環境への配慮を両立させるため、ドイツではこれからも試行錯誤が続きます。人工芝グラウンドの今後に注目しつつ、親としては、子どもたちと家でコツコツできることから環境問題へ取り組んでいきたいと思います。

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