中野吉之伴フッスバルラボ

「がんばって」よりも「楽しんで」。ドイツの言葉がけとSCフライブルクのキッズデー

そんな主催者の挨拶通り、子どもたちは、各トレーニングポイントの課題を嬉々として次々にクリアしていきます。どのトレーニングもシンプルですが、同じグループの子と協力してクリアしていくものばかり。ほとんどの場合、グループのメンバーは初対面の子ばかりですが、サッカーを介した子ども同士は打ち解けるのが早くて、そのオープンさや人懐こさには驚くばかり。ボールを蹴り合ううちにあっという間にコミュニケーションが取れるようになっていきます。

1つのトレーニングが終わるとコーチがねぎらいの言葉をかけます。ダメ出しはなし。子ども同士もお互いのプレイを称えあい、拍手をして、最後は円陣を組んで「SCフライブルク!」と掛け声をかけ、次のポイントへと向かいます。トレーニングごとに仲間とポジティヴな声がけをし合うことの繰り返しで、どんどん子どもたちの距離感が縮まってくるのがわかります。

ゲームの間、親は付き添っても付き添わなくてもOK。売店で買ったコーヒーを片手に子どもをのんびり見守る人もいれば、SCフライブルクのスタッフに任せてその場を離れ、終了時に迎えに来る人もいます。「楽しむ」がコンセプトなので、我が子の動きに一喜一憂したり、大声で叱咤激励するような大人は誰もいません。芝生の上にはとてもゆったりした時間が流れています。

こちらは飲み物とおやつが用意された補給所。トレーニングの合間にいつでも立ち寄ることができます。「バナナはたくさん用意してあるよ!プロの選手も毎日たくさん果物を摂るようにしているんだ。君たちも好きなだけ食べてね。ただし皮は絶対に芝生に捨てちゃダメだよ!!」はい!大事ですね。

開始から2時間ほど過ぎたところで、一度休憩を取ります。ここからが子どもたちが待ちに待ったこのキッズデーのメインイベント。なんとSCフライブルクの選手たちが飛び入り参加!!!憧れのトッププレイヤーと一緒にサッカーできる夢のような時間!!!サインをもらう時間もたっぷりと取ってありました。

次男はユニフォームいっぱいのサインをもらって「ママ…これ額にいれて飾る…」とうっとりした顔で帰ってきました。

「がんばって」よりも「楽しんで」の声がけ、私も家で積極的に使うようにしています。子どもが大きくなるにつれ、学校でのテストや苦手な科目、気の合わないクラスメイトなど、楽しいばかりでは済まないことも少しずつ増えてきましたが、それでも、子どもが家を出るときはなるべく「今日も楽しんでね」と笑顔で送り出したいなと思っています。「楽しい」は人間の心を根っこから支えてくれる大切な感情の1つですから。

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