中野吉之伴フッスバルラボ

どのように今直面している課題や問題をとらえ、それを改善するためにはどんな手順ややり方があるのかに頭を使う。そうすることで、思い込みや勘違いを防いでいく

目標を定めたら、それをどのようにトレーニングに落とし込むのか

今回は合宿中のトレーニング内容について取り上げたい。ミーティングではチームとしてどのようになりたいのか、どんな立ち振る舞いを大事にしていくのか、そして実際にピッチ上ではどんなことに気をつけてプレーすることが必要なのか、というのを一つ一つ取りあげて、深掘りをしてみんなで話し合った。

この深掘りをして考えるというのは、指導者において非常に重要な要素になる。それは粗探しをするということではない。どのように今直面している課題や問題をとらえ、それを改善するためにはどんな手順ややり方があるのかに頭を使う。そうすることで、思い込みや勘違いを防ぐことができる。

ものごとを一側面からだけではなく、いろいろな角度から観察をし、違った価値観から考えてみることで、全く違う景色が見えてくる。思考に豊かさ、深さという生まれてくる。そのプロセスを踏もうとするかどうかが大事なポイントになる。

問われているのは質問に答えられる力ではない。人生において重要なのはマークシートを埋めることではなく、マークシートにはないものの見方でも事象をとらえることができるかではないだろうか。インテリジェンスとは、質問をする側に多く問われているものなのだ。だから、優れたインタビューというのは、受けている人がどう答えているかではなく、本質を引き出すための視点と解釈を持った質問こそが大事なのだろう。優れたインタビュアーに質問されると、自分でも思い描いていなかった言葉が引き出されたりする。

ではそれをどのように身につけるのか。そういえばドイツの学校ではテストにおける回答で単語だけを答えるというものが極めて少ない。そこには論理的な記述がされていなければならない。そうすることで子どもたちは何を、どのように説明するかを習得している。そのプロセスはスポーツの現場でも非常に大切だ。自分が思い描いていた答えを子どもたちがして満足して終わりではなく、そこをスタートにより理解が深まり、イメージできるような質問をかけられるようになってほしいと思う。

では実際にこの合宿中に行ったトレーニング内容について説明していこう。

(残り 4999文字/全文: 5909文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ