【サッカー人気2位】「西村卓朗GMに聞きました。リーグ再開…

中野吉之伴フッスバルラボ

大事な試合に起用できないときに僕たち指導者は子どもたちに対してどうすればいいだろうか。

▼連載:指導者の指導者としての挑戦 Vol.3

フライブルガーFCのU13は9月下旬にリーグがスタートしている。所属しているのはベツィルクスリーガ。範囲的には日本でいう都道府県リーグと同じくらいだろうか。U13ではこのベツィルクスリーガが最上位の部リーグでその下に2部、3部にあたる地区リーグがある。昇格、降格がスタートするのもU13カテゴリーからで、それ以前には地区リーグサイズで試合を行うのが一般的だ。

ちなみに改めて説明するがドイツにおけるU13は日本における小6と中1の年代にあたる。クラブのカテゴリー分けは生まれ年で行われる。例えば今期でいえば07年生まれの子どもがU13カテゴリー、08年生まれの子どもがU12カテゴリーにあたる、というわけだ。一方で欧米では学校が9月スタートなので、07年1~7月生まれの子どもは小6、07年8~12月以降の生まれは1学年上の中1となる。境目となるのが何月になるのかについては確かではないが、おおよその感じで理解していただければと思う。そういえば長男が小学校に入学して最初に友達となった子が、サッカーチームでは一つ上のカテゴリーでプレーしているのを聞いて驚いたことを覚えている。

さてうちのリーグには地元の強豪クラブに交じって、ブンデスリーガクラブであるSCフライブルクも所属している。ただし、U13ではなく、U12チームとしてだ。ドイツでは基本的に子どもに対する適切な負荷とストレスが配慮された試合環境が考えられており、U13年代までは可能な限り移動距離が少ない範囲で試合ができることを大事にしている。一日に数時間かけて移動をして、試合をしてまた家に戻ってというスケジュールが週末にあるのは大変だ。子どもたちはサッカーだけではなく、学校を含めた日常生活もある。負荷のかけすぎ、ストレスのかかりすぎ、焦らせすぎでは健常な成長が見込めない。刺激との関わり方も一考することが必要だ。確かにレベルの高いチームと試合をしたり、大きなトーナメントに出場して優勝することはとても刺激的だし、その中で成長するというのは確かだ。ただ、そうした刺激が強すぎてしまい、それが日常化してしまうと、その刺激が基準になってしまい、普通の状況で満足できなくなってしまったり、イライラしたり、逆に不安に思ったりする傾向が出てきてしまう。ずっと「興奮状態=ハイ」の状態にいるようなものだ。

そうなると、いざいわゆる普通の状況に戻った時に、自分をコントロールできずになってしまうことが良く見受けられる。日本で言えば全日本少年サッカー大会、通称「全小」後がそうだ。すべてのベクトルがそこに向けられ、そのために常に「ハイ」の環境で過ごすようになっていたのが、いったんリセットされて、中学校サッカーという新しいジャンルに入っていく。

そんな中でも自分をコントロールできる子どももいる。自分のやるべきことを見失わずに次のステップに向けて励んでいくことができる子もいる。ただ、そうではない子もいるというのを忘れてはいけないし、それができないからダメな子だなんてレッテルを張るべきではない。人はそれぞれ自分なりのキャパシティがあるし、成長スピードがある。いつまでにどこまで成長しなければならないなんて線引きはそもそもおかしいし、大きなお世話だ。

ドイツで指導者をして20年近くになるが、全国大会のないこの国で子どもたちを追い込んで、毎日のようにトレーニングをして、体罰やハラスメントまがいの指導をしてなんてチームを見たことは一度もない。これに関しては地域差もあるので、体罰やハラスメントまがいの指導はないわけではない。あるところにはある。ただ、「毎日のようなトレーニングをする」「一回のトレーニングで何時間もする」「毎週末何試合も練習試合をする」「遠征に行く」「夏休みに休みを取らずに練習をする」というのは本当に聞いたことがない。そうした自己満足が子供たちの将来をつぶす悪因になることをわかっているからだ。

だから才能ある子がさらに才能を伸ばすためにはアプローチを変える必要がある。その一つが飛び級でリーグに参加をするというもの。一学年上のリーグでプレーすることで様々な経験を積むことができる。あるいは周囲にあるレベルが近いチーム同士で私設リーグを立ち上げる。ドルトムント、シャルケ、レバークーゼン、ケルン、ボルシアGM、デュッセルドルフなどブンデスリーガクラブが多いルール地方やクラブ数の多いハンブルク地域はすでに導入されている。関係者は子どもたちがレベルに応じて無理のない形で試合ができる環境つくりに尽力してるのだ。そしてクラブとしても自分たちの置かれた状況の中で何を優先して育成に取り組むのかが大事になる。

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