中野吉之伴フッスバルラボ

「指導者は怒ってはいけない」自分の受けた指導を繰り返さない勇気

こんにちは。水曜日のコラム担当のゆきのです。

12月も後半に入りましたね。121日から24日まで、一日一日小さな楽しみを重ねながら待つ風物詩「アドベンツカレンダー」の残りもずいぶん少なくなってきました。

acworksさんによる写真ACからの写真 

さて、近年「指導者は怒ってはいけない」をルールにしたバレーボールの小学生大会が注目を集めています。大会を企画し、主催しているのは 元バレーボール女子日本代表でタレントの益子直美さん。スポーツ関連や教育関連のメディアだけでなく、一般の新聞やニュースでも報じられ、広く知られるようになりつつあります。毎日新聞は「ALL FOR 2020 東京へともに歩む」という特集シリーズの中でこの話題を扱いました。オリンピック・パラリンピックを見て憧れのスポーツを始める子どもたちに向けて、益子さんは「子どもの未来を考える指導をしてほしい」「ビクビク萎縮することなく、チャレンジしてプレーできる環境が大切」と語ります。

2019年もスポーツ界における指導者の暴力やパワハラが根深い問題としてたびたび浮上しました。怒る・脅す・威圧する・過重な練習を課すなどなど、相手の心身を追い込む以外の指導の方法を知らない指導者はまだまだ多く、だからこそ益子さんのように流れを変えようとする取り組みが大きな反響を呼んでいます。

INUNEKONさんによる写真ACからの写真

年々大きな盛り上がりを見せ、知名度も高まっている中での大会なので、参加チームの指導者は「怒ってはいけない」というルールの大会だということは承知の上なのでは?と思いますが、それでもやはり怒る人、怒鳴る人、益子さんにそれを注意されてふてくされる人はいるのだそうです。

「子どもたちは怒られないとわかっているので、伸び伸びプレーします。でも、指導者からは『怒らないならどう指導すればいいのか』を問われました」

相手の心身を追い込む指導法は正しいし有効だ、なぜなら自分もそのように指導されてきたし、その指導で成長してきたからだ…記事からは、そんな指導者の姿が透けて見えます。益子さんの選手生活も休みなく厳しく追い込まれることが当たり前の時代でした。しかし、益子さんの活動からは、それを今の子どもたちに繰り返させたくないという真剣な思いが伝わってきます。自分が受けた指導や、それによって得た結果を当然と思うのではなく、どうすれば怒ったり怒鳴ったりせずに指導ができるのか学び模索する姿勢には本当に頭が下がります。

まるうさんによる写真ACからの写真 

元アスリートや現役アスリートといった大きな影響力を持つ人たちが、自らの経験をもとに子どもの練習環境や指導方法のアップデートを訴えている姿に、私は大きな希望を持っています。2020年以降もこの流れが途切れることなく、子どもや若い選手の心身の健康が第一に守られるよう、スポーツ全体がより良い方向へ向かっていってほしいと願うばかりです。

今週もお読みくださりありがとうございました!来週の水曜日は2019年最後の無料コラムをお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ