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中野吉之伴フッスバルラボ

余裕が欲しい!子どものため、大人のため、社会全体のために

こんにちは。水曜コラム担当のゆきのです。

読者のみなさまのお住まいの地域では、寒いですか?雪は降っていますか?フライブルクとその周辺では、ここ何年もずっと少雪が続いています。寒波は定期的にやってきていて、気温がマイナス5℃くらいまで下がる日もあるのですが、空気がカラカラに乾燥しきっていて全く雪が降りません。ほとんどのスキー場は人口雪に頼ってどうにかこうにか営業している状態。これも気候変動の一部なのでしょうか。

さて、今週はやや愚痴っぽいコラムになりますがご容赦ください。テーマはずばり「余裕が欲しい!」です。

きっかけは池上正さんの著書。先日、次男の室内サッカーの大会があったのですが、実はここのところ、息子たちのサッカーのことでちょっとした心配事があったため、待ち時間に読もうと思って『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』を持参していました。その中には「魔法4 気づかせる」そして、そのものズバリの「魔法8 余裕を持たせる」という章があります。

子どもには自分で気づく力、考える力が備わっている。親が先回りして失敗しないよう段取りすることは、子どもが自分で考える力の芽を摘んでしまう。大切なのは損をする体験を積ませて、子どもに気づかせること。そして子どもの失敗を大人が余裕を持って受け止め、「じゃあ次はどうすればいいと思う?」と寄り添うこと。

うーーーーーん。

頭では分かっているのですが、それを実践できる余裕がなかなか持てないんだよな……ということを改めて思い知らされて、私はただただ苦笑いするほかありませんでした。子どもを持つ読者のみなさん、子どもとサッカーをする読者のみなさん、いかがですか?きっと、私は充分余裕を持って子どもに接してますよ!と言える人のほうが少ないのではないでしょうか。

余裕がないときに、子どもの失敗に寛容であるのは本当に難しいです。仕事や家事に忙殺されているときほど、トラブルの元は少しでもなくしておきたいのが本音。ですから子どもの失敗の前兆に気づくと、ついつい世話を焼いてしまいがちになります。子ども自身が失敗して痛い目を見たほうが、のちのち自立した子になる、ということは百も承知なのですが、現実には何度失敗してもいっこうに懲りる様子が見受けられない子もいて、親はなんだかんだでその尻拭いをする羽目になってしまったりします。子どものペースに付き合うだけの根気と余裕がないと、結局手も口も出してしまうのです。

失敗だけではありません。大人の側に余裕がないと、子どもや自分自身の抱える心身の不調をケアするのも難しくなります。子どもが熱を出した時、学校へ行きたくないと訴えた時、大丈夫?と心配すると同時に、おそらく多くの親御さんの頭を駆け巡るのは「まずいな、今日は仕事休めないんだけどな」という切迫感なのではないでしょうか。少しの余裕があれば、休む、時間を置いて様子を見る、立ち止まって一緒に考えるという選択肢も出てきますが、余裕がないときに限って子どもって体調を崩したりするんですよね。

7729UGさんによる写真ACからの写真 

日本で昨年末から公開されているイギリス映画『家族を想うとき』では、家族4人の幸せな生活を願って両親が懸命に働くものの、努力すればするほど4人がひたすら疲弊し、傷ついていく姿が描かれています。家族が大切だからこそ稼がなくてはならないと、新しく仕事を始めたはずなのに、家族で過ごす時間の余裕が、家族がいたわりあう心の余裕が、安心して暮らせる金銭的な余裕が、容赦なくどんどん削り取られていく。現代の社会において、程度の差こそあれ、私たちの多くが直面している現実です。多くの観客が、他人事ではない強烈な胸の痛みを感じながらこの映画を観たのではないでしょうか。

学校生活にもなかなか厳しいものがあります。ドイツの公立学校の教育システムでは、小学校は4年生までで、5年生からは原則として小学校時代の成績に応じて進路が分かれるのが一般的。小5からのカリキュラムは大学進学を目指す学校とそうでない学校で根本的に異なるため、小4までの時点で成績がよろしくないと判断された子どもが、後から伸びて大学への進学を果たすのはかなり難しいのが現実です。この進路選択の早さは、親にも子どもにも先生にもかなり重いプレッシャーとしてのしかかります。小学校でつまずいたらその先の進路の幅が狭まってしまうかもしれない、4年間でとにかくしっかり基礎学力をつけて、いい成績を取っておかなくては先がないかもしれない……という不安と、あまり詰め込みすぎて勉強が嫌いになっては元も子もない、宿題を機械的にこなすだけではなく能動的に楽しく学べる子になってほしい、たとえ少々成績が悪くても「この次がんばればいいじゃない?」と励ましてあげられるだけの余裕が本当は欲しい…という理想の間で、ドイツでは我が家を含め多くの親が板挟みになっています。

YY&Lさんによる写真ACからの写真 

救いはサッカーで、小さな街クラブでのびのびサッカーを続けている息子たちは、レギュラーから外されるとか、試合で使ってもらえないとか、絶対に勝たなくてはならないというプレッシャーからは今のところ自由なように見えます。学校が忙しい分、放課後や週末のスポーツではなるべくその余裕を持ち続けていてほしいのが正直なところですが、もしもいつか彼らがもっと上のレベルでサッカーをしたいと言い出したら、今までとは違った厳しさが待っていることは間違いないでしょう。

余裕がない、ない、という世知辛い話ばかり書いてしまいましたが、ないものを嘆いてばかりいても仕方がないので、地道に時間や労力のやりくりをし、子どもも大人も詰め込みすぎないことを心がけ、近くに住む友人や日本人コミュニティの皆さんの手を借りながら、ささやかな余裕を確保するように気をつけています。きっと読者の皆さんも、同じように工夫し、奮闘されているのではないでしょうか。余裕を作るために奮闘するというのもおかしな言い方かもしれませんが、「困難は分割せよ」という言葉があるように、余裕がない状態を「分割」して、ちょこちょこと小さな余白を作るのです。大人の働き方や学校の在り方など、根本的に変わらなくては解決しない部分も多々ありますが、一朝一夕にはできませんから、子どもたちの一番側にいる大人の一人として、できることをとりあえずコツコツやっていくしかありません。

dronepc55さんによる写真ACからの写真 

個人的には、体力的な余裕があることが最後の砦だと思っているので、睡眠時間と週1回のヨガの時間だけは、どんなに忙しくても極力削らないことに決めています。数年前に始めたジョギングもなんとか続けていて、友達と年に1回ハーフマラソンを走るのが一つの体力維持の目標です。追い込まれていても、忙しくても、夜しっかり眠れて朝元気に起きられる体があれば、きっと大丈夫かなと思うのです。子どもたちにも、どんなに勉強やサッカーが大変でも夜はとにかく早く寝るように口酸っぱく言っています。

来週は、子どもと医療の話を通じて、ドイツで出会った医療現場の皆さんのことや、余裕をなくしがちな親に寄り添ってくれるスペシャリストたちのことを書きたいと思っています。どうぞお楽しみに。今週もお読みくださりありがとうございました。

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