【指導論】フニーニョサッカーで子どもたちが見せてくれた笑顔と成長。楽しみながらうまくなれる環境をどんどん作っていきたい
▼ 一時帰国の活動を無事に終了
東京→益田(島根)→大東(島根)→中津(大分)→佐世保(長崎)→博多(福岡)→益城(熊本)→東京→岐阜→北野(京都)→名古屋→東京→中山(神奈川)→桜川(茨城)→つくば(茨城)→和歌山→高知
今回もなかなかの移動距離だった。1月9日から28日の3週間弱で11都府県のべ25イベントを行い、実に900人強の人々にメッセージを届ける機会を得たわけだが、各地では本当にたくさんの方々にお世話になった。
皆さんの協力なくして、自分の活動がうまくいくことはない。本当に心から感謝している。
会場に来られた全員が僕の見解や解釈に100%満足して、100%納得してくれるとは思っていない。僕たちはそれぞれに自分なりの好みがある。だからどこかしら消化できないことだってあるだろう。それが普通だし、そうであっても何も問題はない。
一方でどの会場でも、僕の話にすごく感銘を受けて、感謝の言葉を残してくださる方々がいた。日本のスポーツ現場を、教育現場を変えるために、もっと大勢の人に聞いてもらいたいといってくれる方々がいた。
それが僕の活力になる。僕一人ですべてを変えることはできないが、そうやって共感しあえる、新しいものを築いていこうとしあえる仲間がいれば、未来はどんどん輝かしいものになるはずだ。
▼ フニーニョ大会がもつ可能性
子どもたちの素直な反応は見ていて本当にすがすがしく、かけがえない。今回茨城県桜川市と和歌山県和歌山市でフニーニョ体験を行うことになった。
フニーニョとはドイツで力を入れている少人数制サッカーで、通常ゴールではなく、ミニゴール4つを用いて3対3で試合をする。
子どもたちが自分たちで問題を解決しようとすることにもつながるとされているが、では実際にどんな現象が起こるのか。それを実際に日本の指導者、保護者の方々に見てもらいたかった。
僕としても初めての試み。どちらの会場でもチーム単位ではなく、ばらばらで募集をかけたので、当日は全く知らない子と一緒にプレーをすることになる。
心配そうに見ている保護者の方もいた。やきもきして外から声をかけようとされる方もいた。
でも、子どもたちはちゃんと自分たちで問題を解決できる力を持っているのだ。焦らずに慌てずに外から干渉しすぎないようにしながら、彼らの気持ちを引き出していく。
もちろん最初からうまく機能することもない。周りの様子をきょろきょろ見ている子どもたちが多い。
そんな空気のなか、クリニックを始める前に子供たちに「今日みんなに守ってほしいことを言うよ。3つのルールを守ってほしいんだ」といって次の3つだけを伝えた。
1.文句を言わない
2.仲間と一緒にプレーをする
3.笑顔で過ごそう
もっと難しいこと言われると思っていたのか、子どもたちはみんな「そんなの当たり前じゃん」「わかってるよー」といってくる。
僕はそれぞれチーム分けしてフニーニョのルールを簡単に説明し、「どう?わかったー?」と聞く。「わかったー」という答えが返ってきたので、「じゃあ、スタートして」と送り出す。
でもなかなか最初はスタートしない。まわりをみながら、え?どうするの?と様子をうかがう。しばらくすると「大丈夫かな?」という顔をしながら、ちょっとずつ始めていく。
またしばらくすると今度はちょっとした文句がいろんなところから聞こえてだした。
「なんでそんなとこにパスすんだよ」
「何簡単に抜かれてんの?」
「何やってんだよ?」
不満を顔に出す子もちらほら出てくる。そんなこと言われてうれしいわけはない。いい雰囲気とは言えない。でもそのままプレーを続けさせてみる。僕は黙ってグラウンドの様子を観察するだけ。
20分ほどたったくらいで子どもたちを集めて、尋ねてみることにした。
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