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中野吉之伴「子どもと育つ」

どうしてドイツへ?どうやってドイツへ?自分のルーツを振り返りながら、これまでの歩みをつづっていきたい

 新企画!吉之伴の歩みVol.1:自分のキャリアを振り返る

新企画だ。自分のドイツでの歩みについてを月1回のペースでつづっていこうかと思っている。

なぜドイツを目指したのか?

どのようにドイツに渡ったのか?

ドイツでどのように過ごしてきたのか?

どんなことを積み重ねてきたのか?

どうやって指導するクラブを見つけたのか?

どのように指導者ラインセンス試験を合格したのか?

SCフライブルクで研修を詰めたいきさつは?

フライブルガーFCとのコンタクトはどうだった?

そうしたことをできるだけ詳細に書いていきたい。現役指導者の方に、将来的に海外で指導者としてのキャリアを考えている若者に、あるいはそんな若者になってほしいと願っている親御さんにも、読んでもらえたらうれしい。

ここ最近は年に2回ほど日本に一時帰国をしては各地を回り、指導実践にサッカークリニック、保護者や指導者向けの講習会やワークショップという活動を行うようにしている。

そんな中、「中野さんはなんでドイツに行ったんですか?どうして今のような活動をしているんですか?」という質問をよくされるのだが、確かに普通に考えたら不思議だろう。僕のようなキャリアを積んでいる日本人はほかにいないのだから。

今も昔も「世界でプロ指導者として活躍したい!」とか、「海外でライセンスを獲得して、日本で仕事をしたい!」という人は一定数以上いる。それは崇高な夢だと思う。

誰だって心に秘めた熱い思いがあって、それと向き合い、より成長するために、快適な生活環境を抜け出し、厳しい世界で戦いながら、自分を向上させていく。野心を持ってプロクラブの育成機関に直接交渉をして、そこで手伝いをさせてもらいながら信頼を獲得し、実際に指導者としての契約を勝ち取った日本人だって少なくない。

僕の友人の中にも、そうしたプロセスでキャリアアップしていった、していく人もいる。簡単な道なんかでは絶対なくて、様々な困難を乗り越え、いろんな苦しみを耐え抜き、それでも自分のあこがれに向けて、懸命に進んでいく。

本当の意味でそうした過程を勝ち残ってきた人は人間的にも専門家としてもやはり素晴らしいものがあるし、もちろん僕も最大限にリスペクトをしている。

ただ、僕は最初からそうした道を主軸に置かなかった。もちろん、プロクラブで働きたいあこがれがないはずはない。親交があるブンデスリーガクラブのSCフライブルク育成部長には自分の思いを伝えている。現在所属しているフライブルガーFCSCフライブルクと育成提携を結んだことで、今後何らかのチャンスだってひょっとしたらあるかもしれない。

でも、そうなればすごいし、とんでもなくうれしいけど、だからといってそれだけが自分にとっての成功だとも思っていないのだ。

あるいはドイツのA級指導者ライセンスを所得しているが、できるのであればプロコーチライセンス(日本におけるS級ライセンス)にもチャレンジしたい。でもそれは、「プロになって指導者として稼ぎたい!」ということ以上に、「もっといろんなことを知りたいし、いろんな世界に触れあいたい」という好奇心の方が強いからだ。

そこでの経験が、指導者としての自分にきっとさらに大きなものをもたらしてくれるという思いがあるからだ。でも、とれなければそれで将来が潰えたなんて思ったりは絶対にしないだろう。そこで僕は自分のことを測っていないのだ。

▼ プロコーチライセンス=サッカーで生きるための保証ではない

ドイツにおいてプロコーチライセンスというのはA級ライセンスを所得してたらすぐに取れるわけではない。僕はA級ライセンスの試験をある程度優秀な成績で合格しているので、トライアルなしでプロコーチライセンスにチャレンジできるという資格は持っている。

ただその他のところでA級ライセンス所得後に、6部リーグ以上の成人チーム、U17およびU19ブンデスリーガチームの監督、シュトゥッツプンクト(ドイツのトレセン)における地域統括コーディネーターといったポストに1年間以上ついて現場での経験を積んでいるという条件を満たさなければならないのだ。

これはプロ選手が指導者に転向する際に、最低限その辺りのところでの経験もなく、プロコーチライセンスにチャレンジするのは良くないというので設定されているラインであり、同時にプロ選手経験がない指導者でその辺りのところでポストをもらえるくらいの人材でないとその先は難しいという線引きにもなっている。

確かに、所属クラブでそれだけの信頼を得ている指導者でなければ、その上のライセンスを獲得する意味は果たしてあるのか、というふうになってくる。

このドイツプロコーチライセンスの現状については、ミッテルライン州専任指導者ベレーナ・ハーゲドルンさんが以前詳しく話してくれたので、その時の内容をここで改めて紹介したい。

「プロコーチライセンスにかかる費用だと、10か月で10000~12000ユーロ(日本円で約120万円~150万円)だったと思います。その中にはU17欧州選手権の視察といったプログラムもありましたし、その時の飛行機代、宿泊費などもすべて込みになっています。

あるいはプロ指導者としてメディアの前でどうふるまうべきかというインタビュートレーニングをするときには、実際にそのメディアの施設を利用して行ったりもするので、もちろん安い値段ではないですが、いろんなことが学べることを考えると、こういう値段設定になるのかなと思います」

「では、それだけのお金を出してもこのライセンスを狙う価値があるものなのかどうか。ドイツだと4部リーグの監督でも納得のいく給料がもらえます。プロコーチライセンスを所得して手にできる職種がどのくらいあるかと考えると、1~3部の監督・コーチ、4~5部リーグくらいまでの監督、6部リーグでもいくつかのお金のあるクラブ、あとは各世代別代表監督やコーチあたりが思い浮かびますね。

このポストにつければ、それ相応の給与が支払われることになります。さて、そうなると全部で大体ですが、プロコーチラインセンス所得が義務付けられている120のポストがあるということになります。

これまでに3000のプロコーチライセンス所得者がいるわけなんですが、どのくらいの確率でそのポストにつけるのか、というのが少しは見えてくるのかなと思います。プロコーチライセンス保持者の4%くらいですね」

プロコーチライセンスを所得した指導者のうち4%がチャンスをつかめる。そこを目指すことが悪いわけはない。でも、そこだけがすべてではないし、そこにたどり着くことでしかサッカーができないわけでも、関われないわけでもない。

サッカーはサッカーが好きな人が誰でも、どこでも、だれとでもできるものであるべきだし、だからこそ世界中でサッカーが愛されている。だから私も生涯、サッカー”と”生きていける生き方を大事にしていきたいのだ。

さて、前書きが長くなったが、ではどうして私がこうした考えを持つようになったのか、なぜドイツを目指したのか、その思いをどのようにドイツでさらにふくらまし、その中でどのように生きる道を切り開いてきたいのか。

私としてもかつての自分を改めて振り返りながら、そして楽しみながら、つづっていきたいと思う。

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