アーカイブ:インタビュー・対談(グラスルーツ)vol.2
大人の感覚と子供の感覚は違う。互いを理解し合うことが相互の成長につながる(20年1月17日)
大分県中津市で浦本雅志さん、ひぐらしひなつさんと一緒にトークイベントを開催した時の記録。
ひぐらし「ドイツでは保護者や指導者が言いすぎないような対策とかはどんなのがされているんですか」
中野「基本的なところでドイツだと特に低学年サッカーの間は保護者にも、指導者にも過剰な声かけにならないように気をつけましょうという声かけはずっとされてきてますよね。サッカーの大会があるとしたら『今日は子どもたちの試合であり、主役は子どもたちですよ』とか、『これはチャンピオンズリーグの決勝ではないですよ』、『この試合に勝った負けたで何かが変わることもないです』というのを、大会前に本部からアナウンスがあったり、プラカードにして目にしてもらったりというのは行われてますね」
サッカーへのビジョン。休むことの大切さ。日本の子どもは大切にされているのか?(20年1月20日)
浦本雅志さん、ひぐらしひなつさんとのトークイベント記事第2弾。
中野「今度は小学校低学年の映像を見てみてください。1ー2年生のころは5人制。フィールド4対4で審判なし。交代自由。その中で子どもたちがサッカーに夢中になりながら、少しずつサッカーのルールややり方を身につけていきます」
浦本「いまこの1年生の映像を見ても思ったんですが、日本である『この年代は団子サッカーでオッケー』というのはここには見られないじゃないですか。1年生の段階でパスコースを作ったり、次の選択肢を作っているという部分。これが日本だと、この年代は団子でオッケーというのが浸透しすぎているんじゃないかと思うんですがそこはどうでしょうか?」
梅村「学校だけじゃなくて、いろんなコミュニティで風通しが悪いってことですよね?」(19年5月27日)
北海道出身の梅村拓未くんは、岩見沢市のスポーツクラブ『sports life design iwazawa』で活動している。同クラブでは、ドイツ・ハイデルベルク発祥の『バルシューレ』と呼ばれる運動プログラムを子どもたちに提供し、サッカースコールも開講しているそうだ。
梅村くんは昨年7月から1年間、本場でバルシューレを学ぶために留学中。フライブルクにも来て、私が指導するフライブルガーFCやSVホッホドルフの練習を見学させてほしいとのことだったので了承した。先日我が家に2泊して子どもたちとも意気投合し、楽しく遊んでいた。
そんな梅村くんとのディスカッションを紹介したいと思う。サッカー、教育、ドイツと日本と、様々なテーマをもとに互いの立場、視点が興味深く交差した内容になったので、ぜひご一読願いたい。
中野「遊具を使って遊ばせて、夢中になってできていてというのも一つの正解例だと思う」(19年5月29日)
梅村拓未くんとのインタビュー第2弾。
バルシューレとは、ハイデルベルク大学のクラウス・ロート教授が発案したスポーツプログラムのことだ。現在の子どもたちは、日常生活の中で十分な自由活動の時間がとりにくい状況にある。ドイツでも「外で遊べ」と言っても、遊べる場所がなかったり、やれることが限られていたり。だが、子どもたちが自然に遊ぶ中で培い、学んでいくことは非常に価値のあるものだ。だからこそ、その場所がないなら作っていかなければならない。バルシューレの基本的な理論はそうした考えから生まれた。そんなバルシューレの話からスタート。
池上「私の考え方でいくと、他の国のどこを見ても、やっぱりドイツのような仕組みはてなくて」(19年4月22日)
親交ある日本における育成界第一人者の池上正さんとのインタビュー第1弾
池上「せっかく私がやるので、『京都独自のね、ライセンスにしませんか』と。10回コースで、最後ちゃんと指導実践もやってもらってというものを考えているんですよ」
中野「京都府エリートキッズ指導者ライセンスという感じですね。いいですね、それ」
池上「それを取った指導者の方が周辺チームのU10の子対象に、少しずつ全員参加できるように毎回代えながらやってもらえたらいいなと。そうすることでU10のトレーニングとか考え方とかが浸透して整理されていく。
そういうコーチを増やしましょう。そういうのがプロジェクトの狙いですね。みんなずっと同じことをしているので、いや、それだとよくならないでしょ。よくするためになんかしましょうよ」
池上「でも、例えばリバープールを見ると、SBとボランチとワイドアタッカーというトライアングルで局面を見ている」(19年4月26日)
インタビュー記事第2弾。
中野「日本の子無理してません? 試合の時」
池上「まあまあね、本当にね。だって、無理するように教えているもの(笑)。この間、ミゲル・ロドリゴと話をしていて、彼のトレーニングでこんなことがあったんだ。ボールをキープするんだけど、止まらないで動きなさいってミゲルは言うんだ。
でも、日本は『耐える』というトレーニングになっちゃうから、みんなそこで止まってしまう。そこでふっと逃げたらもっといいところに運ぶことができるのにね。耐えさすようなトレーニングになっているから仕方がないね」
池上「サッカーの幹の部分ってヨーロッパだとみんな同じ。子どもたちの入り口ってその幹だから、みんな違わない」(19年4月29日)
インタビュー記事第3弾。
池上「オシムさんがやったときも、選手たちがやっぱり『頭が痛い』と。日本人がどれだけそういうことをしてないか。ミゲルがいい言葉を言ってたけど、『2秒先に何が起こるかを考えながらやろう』と。それはおもしろいなあと。なるほど、そういうことかと」
元プロサッカー選手で、現在はドイツで指導を学ぶ「金井拓也」にインタビュー!(18年12月28日)
彼は元プロ選手だ。リトアニアリーグのジャルギリス・ヴュルニュス時代にはリーグ優勝を経験し、ヨーロッパリーグ予選でも短い時間ながらプレーをしたこともある。そんな金井は膝の負傷で選手生活を断念せざるをえなくなり、その後指導者としての道を歩んでいる。
心意気のある人の中でも、金井の心構えは素晴らしいものがある。そんな金井とのインタビューをぜひ読んでいただきたい。
金井拓也「うまくさせようとかじゃなくて、どうやったら選手らが躍動するかなって」(18年12月30日)
金井君とのインタビュー記事第2弾。
中野「じゃあ、一番学んでることって何?」
金井「自分のやってることですか? 今シーズン、3月からBライセンスを取るんです。いまアシスタントっていう形なんですけど、でもほとんど全部練習も見て、選手選抜も含めてミーティングで話してってやってるんですよ。もう一人の方もめっちゃ若いんで、2人で全部一緒にやろうみたいな感じでやってて。チームをどう導いたらいいのか、どんだけいい練習しても、やっぱり人として尊敬されなかったらもう全然ついてこない」
金井拓也「みんながサッカーに関われてて、指導者からも見られているって思ってたら絶対嫌にはならない」(19年1月4日)
金井君とのインタビュー記事第3弾。
金井「例えば、指導者から一声かけられるだけでも全然違うじゃないですか。僕はU-18のときサガン鳥栖だったんですよ。試合に出られないときにもコーチが一声かけてくれました。最近どう、とかこの前の試合どうやった、とか。
それがすごい僕は嬉しかったんです。他の人からしたらそんなの全然大したことないっていうかもしれないけど、僕はそれを、なんだかすごく大事だなというふうに受け止めたんです」