中野吉之伴フッスバルラボ

ドイツの「新しい生活様式」はこんな感じです

こんにちは!先週の段階では「525日から練習再開」という話だった息子たちのサッカークラブですが、予定を1週間早めて、今週から練習が再開されました。

子どもが少なくてグラウンドがさらに広く感じます

さっそく練習に行って帰ってきた長男の第一声は「あっっっつかった~!!!」でした。最後に練習があったのは3月。今は5月で、しかも天気予報ではこの先連日25℃前後の晴天が続くとのこと。練習が休みの間も近所でジョギングをしたり、ボールを蹴ったりと意識して体を動かすようにしてはいましたが、家で過ごす時間がものすごく長かったこの2か月間から急に再開されたトレーニング。日陰ゼロの人工芝の上で1時間サッカーの練習をするのは、少々体がびっくりしたようです。

規制の段階的な解除に伴い、これまでの2か月間、我が家で保留状態だったものも少しずつ動き始めています。今日はそんなドイツの再開された日常の変化を記録してみようと思います。

ATOHSさんによる写真ACからの写真 

1.矯正歯科。受付を済ませたら洗面所へ直行。

歯列矯正をしている次男の検診があったので、矯正歯科に行ってきました。普段は親子で待合室に向かうところですが、次男はまず受付横の洗面所へ直行し、手を洗ってすぐ診察室へ案内してもらいました。診察スケジュールを余裕を持って管理することで、院内での待ち時間や、一時に院内にいる人数をなるべく減らそうとしているようです。私は待合室を使わず、診察が済むまで20分ほど外で待つようにという指示。矯正歯科の近くで買い物をして過ごしました。

20分後に矯正歯科に戻って、私も洗面所に直行し、手を洗って担当医と面談。先生は普段からマスクと手袋着用ですが、この日はそれに加えて次男が除菌効果の高いうがい薬で30秒間入念にうがいしなくてはならなかったとのこと。それも市販されているような一般的なマウスウォッシュではなく、何かドロっとした味も見た目も強烈なものだったそうで…

「超まずかった~。あの味やばいよ~。あんなの毒だよ〜」と超絶渋い顔をしながらも、きちんとうがいして検診を受けた次男、お疲れ様でした!よくがんばった!

ちなみに、ロックダウン中もドイツの医療機関は科の区別なく普通に診療を受け付けていました。歯科でいえば、歯がものすごく痛むような場合はもちろん診察してもらえましたが、定期健診など緊急性の低いものは予約を延期するなどの措置を取るところが多かったようです。

2.小児科。受付は窓をノック。

再び次男登場です。本当なら彼は4月にツェッケの予防接種の予定がありました。ツェッケとは欧州の森林地帯に広く生息するマダニのこと。周囲を豊かな森に囲まれたフライブルクでは、森林だけではなく公園や住宅周辺の緑地にも、校庭やグラウンドにもツェッケは普通にいます。ツェッケが媒介するウィルスがFSME呼ばれる脳炎を引き起こすため、この地域で生活するには予防接種が強く推奨されています(詳しく知りたい方はこちら)。気温がぐんぐん上がり、人間が薄着になるこの季節には、活動を始めたツェッケに人が咬まれるリスクも上がります。コロナウィルスも怖いけどツェッケも怖い。

かかりつけの小児科は、毎年秋冬の風邪の流行る時期にはかなり電話がつながりにくく、予約が取りづらい状況になります。今年の2月下旬頃からはコロナの影響もあって全く電話が繋がらない状態でした。5月も半ばに入り、今はどうだろう、まだ混んでるのかなーと思いながら小児科に電話すると、あっさり繋がり、数日後の予約が取れました。予約の日に小児科に行くと、玄関の石畳にテープでマーキングがしてあります。なんじゃこりゃ。

我が家の小児科は集合住宅の1階に入っていて、受付は建物の角の部屋。この角部屋という条件を生かして、本来なら建物の中に入って受付に行くところ、受付の窓の外から「コンコン」とノックして受付してもらうことになっています。マークされたオレンジの枠の中が受付なのです。

ノックするとすぐに受付の人が窓を開けてくれ、そのまま窓から保険証と予防接種手帳を渡して建物の外で次男と待ちます。矯正歯科と同じように院内での待ち時間をなくし、院内にいる人数を減らそうとしてはいるものの、子どもの診察って時間が読めないのでしょう。1人の診察が終わるたびに、診察室の器具や患者が触れたものも全て消毒しているそうなので、その時間もかかるのでしょう。

しかし、待合室ではなく外で待っているので不安にはなります。あのー、私たち、忘れられてませんか?防音性の高いドイツの建物では、院内の物音もほとんど聞こえてきません。15分、20分と時間が過ぎ、30分近く待ってようやく窓が開き、名前を呼ばれて建物に入ることができました。院内に入ると、普段は子どもに安心感を持たせるために院内のあちこちに置かれているおもちゃや絵本が全て片付けられています。私たちはここでも洗面所に直行。ハンドソープで入念に手を洗って無事に予防接種を受け、帰宅しました。

通院の帰りに思い出したのですが、先日所用でフライブルクの市役所横を通った時、入口からずいぶん離れた窓にぽつんと受付時間の貼り紙がしてあったんですよね。なんでここに受付時間?と思ったのですが、あれもたぶん窓を利用した臨時の受付だったのだろうと後から合点がいきました。

写真:© Jörgens.Mi/Wikipedia, Lizenz: CC-BY-SA 3.0, 出典: Wikimedia Commons 受付になっていたのは建物右側の白い壁の部分にある窓です。まさに窓口

今週から小学4年生の授業が始まり、6月中旬からはドイツの全ての学年で教室での授業が再開される予定なので、今、学校から少しずつ再開に向けてのプランが公表されているところです。来週の無料コラムでも、学校生活をはじめとするドイツでの「新しい生活様式」の試みをご紹介できればと思っています。今週もお読みくださりありがとうございました!

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