中野吉之伴フッスバルラボ

少しずつ進められる学校再開プラン。ドイツの「新しい生活様式」はこんな感じです その2

こんにちは!水曜無料コラム担当のゆきのです。

今、子育てしながら在宅ワークもされている方はみなさん同じような状況だと思いますが……親の仕事と並行しながら、子どもの在宅学習も進めるって本当に大変ですよね。課題が進んでいるかどうかのチェックで、こちらの時間も集中力も削られますし、限られた家の中のスペースや機材をやりくりしながら家族全員の予定をこなしていくのも、3月の一斉休校開始からだいぶ慣れたとはいえ、いつもスムーズにいくとは限りません。

今日のコラムでは、5月下旬現在の子どもたちの家庭学習の状況と、今後予定されている学校生活について書きたいと思います。

今日は朝イチで私が通院と買い物を済ませ、その間に次男がパソコンを使って週に1回のオンライン学級会。そのまま続けて算数のビデオ教材を見終えたところで私と交代し、さあコラムを書くぞ……とパソコンに向かったところで、今日の午後までに森に行って何か生き物をつかまえてくるという理科の課題があったことを思い出しました。慌てて家の裏の森に行ってワラジムシを捕獲し、コラムの続きを書いています。

確保。午後の課題が終わったら森に帰します

我が家の場合、オンタイムに教員と生徒が参加するタイプのオンライン授業はとても少なく、6年生の長男で週23回、小3の次男で週1回、1回あたり30分から45分程度で、基本的に自由参加です。家のネット環境や機材の有無などで参加が難しい子どもに対する機材の貸し出しやネット環境整備等の支援は、フライブルクの公立校ではまだ行われていません。そのため、基本的に使用するのはメールや郵送で送られてくる紙の教材で、補助的にビデオ教材なども活用されています。オンライン授業に参加できれば、その場で先生に質問もできますし、語学の授業では発音や会話の練習もできますが、参加できない子どもが極端に不利になることがないよう配慮されているようです。

先日の長男のフランス語の授業では、長男とペアだったクラスメイトがネット回線の不調で参加できなかったため、後日電話で会話練習をし、それをスマホで録音して先生にチェックしてもらいました。デジタルもアナログも使えるものは全部使う…という感じです。

acworksさんによる写真ACからの写真 

ドイツの各州では段階的に学校での授業も再開されていますが、卒業を控えている学年以外の子どもたちは、夏休みまでは登校する週と自宅学習する週を交互に繰り返し、登校する週には主要教科を中心にした短縮授業のみが実施されることになりました。さらに、登校する子どもたちは1クラスを23つのグループに分けて教室内の人数を極力減らすことに。

長男の通う公立のギムナジウムからはまだ詳細が発表されていませんが、次男の小学校では、各クラスが朝8時半~10時のグループと、10時半~12時のグループに振り分けられることになりました。子どもたちは学校に行く週は90分だけ授業を受けて帰宅し、自宅学習の週はこれまで通り各家庭で課題をこなします。子ども同士の接触を避けるため休み時間はありません。公園や自宅で少人数で遊ぶのは既にOKになっているので、友達と遊びたければ放課後に改めて、ということになります。

学校内では基本的にマスク着用ですが、授業中、自分の席についている間は外してもOK。ただし、マスクを机の上に置きっぱなしにせず、机の横のフックにかけておくことになっています。また、登校する子どもと下校する子どもの玄関を分け、子どもが廊下ですれ違ったり、出入り口付近で固まったりすることも避けるよう対策が取られています。

Konitaroさんによる写真ACからの写真 

3月中旬に一斉休校が始まった当初は、これはコロナの感染ピークが過ぎるまでの一時的な措置だという認識の人も少なくありませんでした。親や子どものストレスに配慮しながらも、数週間分の学習の遅れを最小限にとどめ、コロナ明けにスムーズに学校生活に戻れることを念頭に置いて家庭学習に取り組む保護者や教員、教育関係者が多かったのではと思います。

しかし、地域や学年によっては、休校期間は結果的にまるまる3か月にも及びました。4月、5月と時間が経つにつれ、学校から出される課題の量も内容も次第に変化してきました。学習に遅れを出さないことよりも、学習の習慣や、人と人との関係を維持することが重視され、学ぶモチベーションを維持しながら、教員や生徒同士がつながりを保てることを重視する内容に徐々にシフトしてきつつあります。

AQUA_ぽん太さんによる写真ACからの写真 

今、学校再開に向けて優先事項とされているのは、「学習に大きな遅れを出さないこと」や「これまでの遅れを取り戻すこと」よりも、感染を再拡大させないことに細心の注意を払いながら、「学校で過ごすという感覚をまず取り戻すこと」です。ここから夏休みまでの数週間は、いわばリハビリ期間。長期にわたって、人と関わる暮らしを避けなくてはならなかった子どもたちが、感染再拡大を避けながら、友達や先生と関わり合い、もう一度子どもたちの社会生活に戻っていくための時間です。

勉強や成績は二の次…とは言いませんが、まずは子どもたちには「相手がそこにいてくれて嬉しい」という感覚をしっかり確かめて、限られた学校での時間を大切に過ごしてきてほしいと願っています。相手が音声や画像だけではなく、しっかりとそこにいて、同じ空間を共有している。それはここ何週間の間、当たり前ではなくなっていたことですから。

今週もお読みくださりありがとうございました!次回もよろしくお願い致します。

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