中野吉之伴フッスバルラボ

新しい発見、新しい視点、新しい解釈、新しい価値観を見つけていくために。フッスバルラボとして新たな船出。

▼ 「子どもと育つ」から「フッスバルラボ」へ

17年10月にWEBマガジン中野吉之伴「子供と育つ」はスタートした。

ドイツで指導者として、ジャーナリストとして活動する知識と経験をダイレクトに伝えたいという思いで立ち上げ、サッカーに対する多様な価値観、子どもたちを指導するにあたって必要となる育成哲学を、様々な観点から有用な情報を発信してきたつもりだ。

これまでアップしてきた記事はどれも、僕としても自信をもってお届けできる内容だったと思っている。ただ一方でこのWEBマガジンの存在をもっと多くの人に知ってもらうためのアプローチを模索していた。

どんなに僕が「ためになる記事ですよ」「面白い内容ですよ」といっても、文章は読んでもらえないことにはどんな思いも届かない。有料WEBマガジンであればなおのことそうだろう。地道にコツコツ頑張りますも大切だけど、どこかに変化が必要だった。

とはいえ、普段の生活だとなかなかにスケジュールは忙しい。育成指導者といて週に3回90分の練習と週末の試合。練習前にはトレーニングメニューを作成する時間を取らなきゃだし、練習前後にはコーチや保護者、選手と話をする時間だってある。

週末の試合前にはシステムからスタメン、相手チームへの対策、戦術テーマ、試合中の対策などなど、試合が終われば分析から次週の練習テーマへの落とし込みまで考察していく。

仕事としてブンデスリーガの取材スケジュールをどうやって組み入れるかもいつも悩ましいところだ。基本的に指導いているチームの試合スケジュールを優先するが、とはいえリーグやEL、CLの大事な試合とかぶることがあれば、そちらを優先しなきゃいけないこともある。仕事をないがしろにしたらむしろ保護者や選手に怒られる。順番をはき違えちゃダメなのだ。

忙しいからとって、それで体を壊したら元も子もない。だから睡眠時間は十分にとるように気を付けるし、仕事が忙しいからと家族のことに向き合えなくなるのは嫌だから、そのための時間と心も計算に入れておかなきゃいけない。

そうなると、WEBマガジンの方向性をじっくり考えたり、改善するためのアイディアを練るための、まとまった時間がなかなか作れない。WEBマガジンの原稿を執筆していくことで精いっぱいになってしまう。何とかしなきゃの思いだけが積み重なっていた。

▼ コロナ禍の影響。発想の転換

そんなところに新型コロナウィルスだ。拡大の影響は僕にも直撃した。ブンデスリーガ中断となり、指導しているチームの練習も試合もすべて中止。カレンダーいっぱいに書き込まれていた3月、4月、5月のスケジュールは真っ白になってしまった。

試合物、選手物は書けない。どうしよう。いろいろと考えて僕が思ったのは、「いつもやっていることができないなら、いつもできないことをやってみよう」というものだった。

ドイツで頑張っている日本人指導者、鍼灸師、スタッフにビデオ通話でインタビューさせてもらい、記事を書くことにした。おかげさまでいろんな人とコンタクトが取れて、それぞれどれもすごく興味深い話をたくさん聞くことができた。

そして、WEBマガジンのリニューアルについても、今だからこそできることじゃないかなと思ったのだ。一度じっくりと現状を分析して、自分の思いを再確認して、今後の方針を見出そうと。

転機に向けた今だからこそ。自分のキャパシティを見定めて、無理のないスケジュールで、全力でこれからもやっていきたい。

もっとわかりやすく、使いやすいWEBマガジンにするために。現在絶賛改良中!

まず3月の段階では「動画」「読者の質問に答えるコーナー」「これまでの歩みを振り返る連載」「ドイツ現地情報」といった新企画を思いつき、そして4月からは「トレーニングメニューの紹介」「過去記事の整理、加筆・修正」に取り組むようにしている。

ふと思ったのは、新しい情報を出し続けるだけではなくて、これまでに書き溜めてきた情報を検索しやすくすることってすごく必要じゃないかな、ということだった。アーカイブを作成してつながりがある構成にする。

そうしたら、もっとわかりやすく、もっと使いやすく、もっと魅力的なWEBマガジンになるんじゃないか。

それと同じころ、「これまでやってきた育成に関する連載やグラスルーツに関するコラムも大事にしながら、新しい企画もどんどんやっていくようになると、タイトルも少し考えた方がいいんじゃないか」と普段から親交がありお世話になっている宇都宮徹壱さんからアドバイスしてもらった。

なるほど。「子どもと育つ」という言葉には僕も思い入れがある。立ち上げ2年8か月もこの名前でやってきたのだ。でも、これがタイトル名として本当にちょうどいいのか、となるとちょっと考えてしまった。

子どもと育つはタイトルというよりも一つのキーワード。

だったら、もっとシンプルに「ドイツの現地情報が読める」というメッセージを、わかりやすいフレーズで表現できたら、そのほうがいいんじゃないかと。

宇都宮さんにもいっぱい相談に乗ってもらい、候補が上がっては消えていく。そして生まれた新しいタイトルが「中野吉之伴フッスバルラボ」だ。

フッスバルはドイツ語でFußballと書き、サッカーを意味する。ベタかもしれないが、ドイツらしさを一番わかりやすくいう感じられるのではないかと思っている。

そしてラボというのを使ったのは、様々な情報をバラバラに乱立させるのではなく、化学反応できるように僕のところでまとめていきたいというのと、僕一人で組み立てる、作り上げるのではなく、会員の皆さんともっと交流を深めながら、新しい発見、新しい視点、新しい解釈、新しい価値観を見つけていきたいという願いが込められている。

今後のラインナップに関しては以下のようにイメージしている。

・年代別トレーニングメニュー

ドイツで20年弱書き溜めてあるトレーニングメニューの数々から各年代別に合わせた形で紹介していく。ウォーミングアップ、メインメニュー、ゲームメニューと一日の流れ全体でまとめ、それぞれ個別でも検索できるようにしたいと思っている。しばらくはウィズ・コロナトレーニングもアップしていくつもりだ。

・吉之伴の歩み

僕がドイツにくるきっかけ、きてからの歩みについてをまとめていく連載。日常生活からチームでの活動、またライセンス講習会やSCフライブルクでの研修などについても。基本的に毎月1回更新。

・無名者の名言(仮)

過去記事の中から心に残っているフレーズや言葉を紹介し、解説。

・指導者の指導者としての挑戦

現在所属してるフライブルガーFCでの活動をまとめる連載。U13監督として、若いコーチを指導することにも取り組んでいるため、選手にたいするアプローチだけではなく、指導者同士の交流などについてもたくさん述懐していきたい。

・インタビュー/対談

①ブンデスリーガやEL、CLで日本人選手にしたインタビュー原文を公開。現在は取材規制があるのでお休み中。②ドイツで活躍する様々な日本人にインタビュー。③ドイツのグラスルーツでサッカーと生きる指導者とのインタビュー。「こんな人の話が聞きたい」というリクエストがあったらぜひ!

・マッチリポート

ブンデスリーガなどの試合リポートや分析コラム。また注目選手に関してマニアックなポイントから掘り下げたコラムも書いていこうと思っている。

・ドイツ便り

不定期更新。ドイツメディアで見つけた興味深いテーマを取り上げてご紹介。

・読者の質問にお答えします

SNSでのやり取りで出てきた質問に丁寧に答えていく企画。基本どんな質問にもお答えします。

・サッカーと生きる/グラスルーツ

サッカー”で”生きるのではない。サッカー”と”生きるのだ。ドイツサッカーの原風景を様々な角度、視点から紹介していきたい。

・交流会

会員のみなさんとZOOMを使っての交流会を毎月定期的に行っていく。ここから新しい企画が出てきたら面白い。

 

頭の中で描いているイメージが実際にどう動き出すのかはわからない。ここであげたラインナップすべてを網羅することができるかというと、まだまだ未知数と言わざるをえない。

でも今、僕はワクワクしている。フライブルガーFC U13のトレーニングがようやく6月3日から再開される。いろんなことがまた動き出す。タイトル名を変更してリスタートを切るのに、今はきっと最適なタイミングなのだと思う。

このラボで様々な実験をして、面白いチャレンジをしていきたい。

「中野吉之伴フッスバルラボ」の今後にぜひご期待を!!

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