中野吉之伴フッスバルラボ

過去記事から考えたい、大人のエゴのためではなく子どものためのスポーツ

こんにちは!水曜コラム担当のゆきのです。

混み合う街中ではなく敢えて人のいない風景をお送りしております

ドイツ北部の州では、既に6月末から夏休みがスタートしており、他の地方からフライブルクにやってきたと思われる観光客の姿が街のあちらこちらで見られるようになりました。

コロナウィルスの影響で、夏の旅行や帰省は全体で見れば大幅に減っているはずなのですが、旅行や移動に関する規制はかなり緩和されているので、久しぶりに遠方の友人や家族を訪ねたり、周囲を豊かな山や森に囲まれたフライブルクやその周辺地域で過ごしたりしたいと足を伸ばす人も一定数います。週末の市街地は、多くの人がマスクを着用していることを除けばいつもの夏と変わらないのでは?と思われるほどの賑わいを見せています。

しかし個人レベルの旅行ではなく団体で行うイベントとなると、相変わらず規制が多いのが現実。子ども向け各種夏休みイベントやワークショップへの参加券であり、周囲のレジャー施設の割引券でもある夏休みパスも今年は発行されません。スポーツクラブや地域コミュニティの主催する夏祭りやキャンプなども軒並み中止になっています。私たち家族が住む地域もあと2週間で夏休みですが、どう過ごそうか未だに決めかねているところです。

さて、今週は昨年のこの時期に掲載した中野吉之伴のインタビュー記事2本を再掲します。

大人の過保護とストレスがもたらす弊害とは?子供の成長になにより大切なことを考える

「子どもたちはなんでサッカーをやっている?」育成に求められる大事な要素とは?

元ドイツ代表DFのルーカス・シンキビッツと元ケルン育成部長のクラウス・パプストとのインタビュー。元々は中野が毎年担当させて頂いているワールドサッカーダイジェストの人気企画「ブンデスリーガベストプレーヤー50人」 ための座談会でしたが、本編に入る前のアイドリングとして行った育成に関するディスカッションが非常に濃い内容となったため、このウェブマガジンで掲載させていただきました。

子どもがスポーツを通じて成長することを願うあまり、子どもに対して干渉しすぎたり、子どもが勝つことや上達することといった目に見えるわかりやすい結果を求めすぎてしまう風潮はドイツにもあります。特にパプスト・シンキビッツ両氏が活動するルール地方はドイツでも最もその傾向が強い地域。ブンデスリーガクラブを始めとしたサッカーの強豪チームが密集している地域で、選手がまだ小さい頃から早い段階でクラブ間のタレントの争奪戦が始まり、親も子どもをより充実した環境へ送りこもうと必死になることがよく見受けられます。トップクラブの育成アカデミーを一度も経験せずにプロ選手になったファビアン・クロスのような存在はドイツでも異色なのです。

コロナ禍による長期の中断を経て、スポーツをめぐっては様々な角度からその在り方が問い直されています。日本でも従来の部活や大会の意義や見直され、大人のエゴのためではなく子どものためのスポーツとはどのようにあるべきか、本当の意味での子どもの成長につながるスポーツとは、と識者やアスリートによる発信が活発に行われています。

「子供は大人の夢を叶える道具ではない」 夏の大会中止で考え直すべき「部活」の意義

センバツが必要だったのはむしろ親?球児を育てることの「苦労と報酬」。

友達とずっと会えなかった。好きなことが長い間できなかった。目標にしていたものがなくなってしまった。それは子どもたちにとっては紛れもない事実で、決して簡単に受け止められることではなかったと思いますが、私たち周囲にいる大人が、そのことを過剰にドラマチックにとらえたり、かわいそうだとレッテル貼りをしてしまうと、それは子ども自身がこの状況をどう捉え、どう行動していくかの選択肢をゆがめたり狭めたりしてしまうかもしれません。コロナ禍によって先の見通しが持ちにくくなった昨今ではありますが、わかりやすい正解を追うのではなく原点に立ち返って考えるための一助として、このウェブマガジンもご活用いただけたら嬉しいです。

今週もお読みくださりありがとうございました!来週もよろしくお願いいたします。

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