中野吉之伴フッスバルラボ

先の見えない新年度だからこそ、学校とのコミュニケーションのあり方が課題

こんにちは!フッスバルラボ編集・管理人のゆきのです。

9月に入るのと前後して、こちらは急に朝晩の冷え込みが厳しくなり、空模様は秋を感じさせます。9月といえば新学期であり、ドイツはじめ欧州各国では新年度のスタートでもあります。多くの学校で夏休みが短縮された今年の日本では、もうとっくに8月半ば頃から新学期を迎えた子どもたちのほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。

ドイツ・フライブルクの我が家では、次男はまだもう少しお休みが続きますが、長男は新学期に向けての補習に通い始めました。苦手教科を中心に州が無料で2週間実施してくれる補習で、コロナ禍以降、充分な授業が受けられなかった分を少しでもカバーしたい生徒のために任意参加で行われています。

夏休み前の段階で、小学校ではすでに分散登校が解除され、一部教科を除いてほぼ通常通りに再開していましたが、それと比べると、ギムナジウムや実科学校などでは通常の半分から三分の一程度しか授業が再開されないまま夏休みに入ってしまいました。ぽつりぽつりとしか授業がなかった夏休み前と比べると、補習とはいえ2週間も続けて毎日授業があり、教室で友達と会えるのは長男にとって本当にしみじみ嬉しいことのようです。

実は、92日現在で、子どもたち2人とも新学期からの学校生活がどのようなものになるのかは全く未定です。次男の始業式の日時は決まっていますが、長男は本来の始業式である914日に何時に学校に行けばいいのかもまだ連絡が来ていません。7月末の終業式のときはまだ分散登校しなければならなかったので、クラス全員が教室に顔を揃えることは学年末まで結局できませんでした。新学期にはせめてクラスメイトみんなに会えるといいのですが。

メルケル首相は、新規感染者数が減少する気配を見せない現在の状況を踏まえて、当面の間各種制限は緩和されないこと、大規模な行事は少なくとも年内は禁止することを827日に発表しました。今後もし感染が大幅に再拡大してしまった場合に備えて、学校の閉鎖を最低限に留められるようなクラスター戦略の作成や、学校教育デジタル化への追加予算なども発表されましたが、経験則が当てにならず臨機応変に対応し続けなくてはならない状況は新学期も続きそうです。

アシュガーさんによる写真ACからの写真 

ところで、日本とは異なり短縮されることのなかったドイツの夏休みですが、あの長かった休校期間の後ということで、普段は「休暇は休む!」ことを大切にするドイツ市民からもさすがに一部疑問の声が上がりました。特に学校の教員へは厳しい視線が向けられる場面もあったようです。「学校が閉鎖されていた間、先生たちも休みだったんじゃないの?なのにまた1カ月以上も休むの?」というわけです。

過去に例のない日々の中であっても、ほとんどの先生方は定期的に出勤されていたようですし、課題の指示や家庭とのコミュニケーション、新しい学習方法の試行錯誤、そしてなにより自分自身のや家族との生活を維持するなど、閉鎖期間中にももちろん先生の側にもやることはおそらく山ほどあったはずなのですが、生徒や親との間で、お互いの状況をどの程度把握できていたかは、残念ながら学校によっても、また個々の先生によっても大きな差が出てしまったのが実情です。

我が家のケースひとつ取ってみても、次男の担任の先生は幸いコロナ禍以前からメールや電話などで各家庭とこまめに連絡を取ってくださる方で、デジタルツールの導入にも積極的だったので、いろいろなツールを駆使して定期的にお互いの近況を知らせ合う機会がありました。一方長男はというと、担任の先生とは不定期に電話やメールのやり取りはしていたものの、長期休暇中全くコンタクトのなかった教科担任の先生もおり、小学校に比べて科目が増えている分を差し引いても、あの先生は一体何をしていたんだろう?という率直な疑問は残っています。

uopictureさんによる写真ACからの写真 

日本ほど深刻な過剰労働の常態化ではないにせよ、コロナ禍でこれまでになかった負担が先生方にのしかかったことは事実だと思います。が、人と人とのコミュニケーションの取り方や、文字通りの距離の取り方が根本的に変わってしまったこの半年で、先生と各家庭との間の風通しを良くすることはこれまで以上に難しくなっているのかもしれません。なにしろ、クラスター感染防止のため、保護者会も個人面談も、保護者が校舎に立ち入ることさえも現状では禁止されたままなのです。我が子を取り巻く環境が今どうなっているのか、親として知りたい半面、知りたいと求めることが過剰な先生の負担になることもまた避けるべきだろうと思うのですが……。

学校教育のデジタル化を進めるにあたっては、授業そのものだけでなく、ぜひ教員と保護者とのコミュニケーションツールの充実にも力を入れてほしいというのが、親としての切実な希望です。

最後に「夏休み」というテーマで書いた過去コラムのリンクをいくつかご紹介してまとめとさせていただきます。今週もお読みくださりありがとうございました!次回もよろしくお願いいたします。

WEB講習会告知と、前例のない夏休み

宿題は(ほぼ)ゼロ。サッカーの練習も(ほぼ)ゼロ。ドイツの子どもの夏休みスタイル。

夏休み、ドイツのサッカー少年は野球に夢中?

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