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中野吉之伴フッスバルラボ

【コラム】”マンシャフト”でサッカーする?しない?一番大事なのは本人の気持ち

こんにちは!秋分の日を過ぎたここドイツ・フライブルクでは、一気に空気が冷たく感じられるようになりました。日本には「スポーツの秋」という言葉がありますが、ドイツにはそれがありません。日本の運動会のような秋の定番行事がないせいもありますが、一年中スポーツを楽しむ人が多いお国柄だからなのかな…という気もします。

今日はその「スポーツを楽しむ」にも幅があって、その人に合った楽しみ方ができることが大事、という話を書かせて頂こうと思います。

友人の息子くんが先週めでたく小学1年生になりました。息子くんはとても活発でおしゃべりな子。入学式の話や新しい学校の話などを一通り話したあと、「今日はこのあとパパと公園でサッカーするの!サッカーだいすき!」と元気よく言っていたので、友人に「どこかのクラブチームに入ってるの?」と聞いてみました。すると、「うーん、サッカーは好きなんだけど、他にも好きなことはいろいろあるし、今のところパパとボールを蹴ってるだけですごく満足してるみたい。だからクラブチームにはまだ行かせてない」との返答。

サッカーが好きで、小さい頃からクラブチーム“Mannschaft“(マンシャフト)あるいは“Sportverein“(スポーツフェライン)に所属し、定期的な練習や試合経験を詰む子どもはたくさんいますが、実は友人の息子くんのようにサッカー協会に加盟する正式なクラブチームに登録せず、公園や広場で草サッカーを楽しんでいる子どもも相当数います。

フェラインについては、下にリンクした過去の中野の記事が詳しいので、ご興味のある方はこちらもお読みいただければ幸いなのですが、このマンシャフトあるいはフェラインでの活動は行政のしっかりしたサポートに支えられている一方で、会費を支払う・定期的な練習や試合に参加する・組織の運営に関わっていくという積極的な参加態度が求められる場でもあります。

ドイツサッカーの地盤がしっかりしているのは 地域にフェラインが根付いているのが大きい

ごく小さい頃からボールや芝生に親しみ、マンシャフトでプレイすることを楽しむタイプの子もいれば、「サッカーは好きだけど他にもやりたいことがあるから」「サッカー『だけ』にそこまで熱中しているわけでもないから」「サッカーに興味はあるけれど、大人数の中で行動するのはまだ苦手だし、ルールもよく理解していないみたいだから」などなどの理由で本格的”にサッカーに関わっていない子も少なくありません。そういう子も学校の休み時間や放課後には、天気さえよければ決まってボルツプラッツ”と呼ばれる小さなサッカーコートに集まって何時間もボールを蹴っていたりします。チーム単位、クラブ単位で動くのではなく、個人としてサッカーをやりたいときにやりたいようにやれることが大切なのかもしれません。そして、そんな風にふらりとサッカーがしたくなった時に、近くにちゃんとサッカーができる場所があるのは本当に充実したサッカー環境だなあ、と思います。

ちなみにドイツでサッカーと同じくらい「やりたくなったときにふらりとプレイできる」スポーツは卓球なんじゃないかな?と筆者は個人的に思っています。正確な数は分かりませんが、ボルツプラッツと同じくらいの頻度で、校庭や公園、土手や広場などの一角にコンクリートの卓球台が設置されているのをとてもよく見かけますし、手頃な価格の卓球のラケットがスーパーマーケットでも手に入るくらいですから。

ボルツプラッツについてはこちらの記事もぜひお読みください。

ドイツの子どもたちがする遊びってどんなの?遊びの中で自然とサッカー的要素も身についていく

話が脱線しましたが、子どもがボルツプラッツに集まって自発的に遊びだすとき、あいつはマンシャフトに入ってるから、マンシャフトに入ってないから等々の線引きは彼らの中にはないようです。同じ場を共有している仲間として遊ぶ、それだけの極めてシンプルな関係です。学校の体育の時間にサッカーをやるときも同じ感覚のようです。その中で、もっと強くなりたい、もっと上手くなりたい、もっとたくさん試合をしたいという情熱が出てきた子はマンシャフトに入ればいいし、そうでないならこれまで通り気楽に(といってもプレイするときは負けたら泣くレベルで本気なのですが)サッカーを楽しめればいい。サッカーをするならマンシャフトに入らなければいけないとか、マンシャフトに入っていなければサッカーに関わる資格はないとか、そんな窮屈な縛りとは無縁のサッカー環境が、ドイツの巨大なサッカー人口を根っこで支える大切な要素になっているように思います。さらに背景には「一人一人が自分に合った納得できる環境でその競技に関われることが最も望ましい」という、個の満足感や納得感を大切にする揺るぎない価値観があります。「もっとやりたい、もっとうまくなりたい!」という本人の気持ちがどの程度あるかが大切で、その気持ちがどこを向いているか、そのためにはどんな環境があればいいのかを考える、という順番なのです。

今週末に予定されている長男のサッカーの試合には、相手チームのゴールキーパーとして小学校時代からの仲良しの友人が出場する予定です。元々運動能力がかなり高い子で、体育でも休み時間でも何をやっても人並以上のプレイができてしまう彼は、何でもできてしまうがゆえに自分にとっての特別なスポーツを見つけるのに時間がかかったのかもしれません。小学校3年か4年頃になってようやく本格的にサッカーを始めました。様々な遊びやスポーツを思い切り楽しんだ時期を経て、Tシャツとジーンズでボルツプラッツで走り回っていた仲間と、それぞれのチームのユニフォームに袖を通して試合で対決できるというのは長男にとってはとても感慨深いよう。良い試合になることを私たち親も心から楽しみにしています。

今週もお読みくださりありがとうございました!次回もよろしくお願いいたします。

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