中野吉之伴フッスバルラボ

【ドイツ便り】新年のご挨拶と今年の抱負。自分の活動を整理してクリーンアップしてスマート化させたい

▼ 今年の抱負は?

新年あけましておめでとうございます。今年初コラムになります。

一年の計は元旦にあり。

僕の今思い描いている今年の抱負を一言で表すとするとこれかなと思います。

現状維持

あ、消極的な姿勢と思われてしまったかもしれませんが、これ僕としては積極的な意味合いとして使っています。

昨年は新型コロナウィルスの影響でいろんな活動に制限がかかり、世界中の本当に多くの人が生き方、働き方、暮らし方、関わり方について考えた年だったかと思います。

僕自身もそうです。「現場活動ができない」「取材活動ができない」「一時帰国ができない」というこれまで柱としていた活動ができないんだから苦しいに決まっている。

そんな中僕に大きなヒントを与えてくれたのが、フライブルガーFCの教え子でいま指導者仲間でもあるルカ・モルドルでした。

最初のロックダウンが始まった3月の終わりのころだったかと思います。家族で近くの公園を散歩していたら、偶然会ったので少し立ち話をしました。僕が「これまでやっていた仕事がすべてできなくなるかもしれないんだよね」ということを話したら、24歳の彼は「そうだよね、みんな大変だよ」といった後、こんな風にさらっと言葉を送ってくれたんです。

「でもこういう時だからこそクリエイティブに考えることが大事なのかなって思うんだ。新しいことに取り組むチャンスって考えられる人は強いからね」

心ががっちり反応したのを覚えています。その通りだねって。何気ない日常の会話で発したおそらく彼の何気ない一言はすごく本質をついていた。そして彼が持つ指導者としての資質の高さに改めて感じ入りましたね。その視点、その解釈、その心構え。素晴らしいですよ。

彼の言葉に感銘を受けた僕がその後オンラインでできる可能性を探し出し、新しい働き方を模索し、将来性のある活動を始めることができたんだから、まさにどんぴしゃりだったわけです。

ただ、そうやって作り上げたものはまだまだいろんなところで粗があります。それぞれがばらばらに散らばった状態だと、十分に魅力を引き出すことはできない。だから一度じっくりと整理をして、まとめなおして、クリーンアップをする時間と機会が大事になります。

パソコンでもデータやシステムを無造作に取り込み続けたら、動きが鈍ってきてしまいますよね。

自分がこれまでの活動すべてを精査しながら、最適な組み合わせや取り組み方を探し出す。それが来年以降の大事な大事なベースとなる。そんな風に今年を過ごすことができたらいいなと思っています。

▼ 今年の活動目標を発表
①指導者として
⇒SCフライブルク
新型コロナウィルスの影響でまだ活動できてないけど、地域にある小学校でフニーニョAG(学童クラブ)を担当することになっているので、これはぜひ実際にやりたいですね。サッカーをしたいけどおっかなびっくりな子もまだまだたくさんいるし、体を動かしたり、スポーツをしたりする楽しさに触れ合う機会がない子だってたくさんいるわけです。

プロクラブが地域社会にできることを考える意味でもすごくいい体験になるはず。

それにフライブルガーFCがSCフライブルクのパートナークラブとして公認されたおかげで、SCフライブルクの育成指導者と情報交換したり、内部講習会に参加できたりできるというメリットがあります。どこかで時間を作って短期間でも研修させてもらえないかとコンタクトをとってみようとも思っています。

⇒フライブルガーFC
現在クラブ育成のプレー原理をまとめるプロジェクトチームの一員として活動しています。サッカーにおける原理原則は基本度のチームでも大事にするところ。その中で自分たちのクラブがどんなふうに色を持つことができるのか、それを指導に関わる人にどのような言葉で表現すれば誤解されることなく届けることができるのか。大事なところですよね。

ミーティングの時は頭フル稼働。プロジェクトチームのほかのメンバーはみんな僕より20歳くらい若いけど切り口が鋭くて刺激的!視点、解釈、距離感などなど、僕が培ってきた経験をうまく足して、いいものを作りたいです。

あと監督として1チームをもつだけではなく、複数年代を統括するポストに就くことをクラブサイドには希望しています。現時点でイメージしているのはU12監督となり、U8-U11までの統括部長を引き受けて、その年代における育成コンセプト作りに関われたらと思っています。

⇒ホッホドルフ
息子が来季プレーするU14のコーチとして週1練習を担当+育成代表からU19監督のオファーをもらっています。フライブルガーFCとの兼ね合いの中、どういう組み合わせだと現実的かを相談しているところ。それぞれの練習日を僕の都合に合わせてもらうとしても、全練習日と試合に帯同するのは無理。

U14はすでに信頼している監督とコーチがいるし、僕はあくまでもサポートの立場で関わるから大丈夫だと思うけど、U19のほうは頼りになるアシスタントコーチが絶対に必要にはなります。

あと可能ならここでも育成代表と協力して、シンプルなクラブ育成コンセプトを作り上げたいですね。出場機会の基準や考え方をまとめ上げ、何のための育成か、僕らが目指すのは何なのかというところを明確にしたいです。

②ライターとして
おそらく現地取材はまだ難しいでしょうね。試合会場を訪れ、試合を観戦して、選手や監督、関係者のインタビューをして、それらをもとに記事を書く、というこれまで当たり前にできていた活動が現実的に非常に困難なまま。公式ホームページやドイツ紙に乗っているコメントを引用することはできるけど、それがメインになる記事では新鮮さもオリジナリティもないわけで。

コメントありきの記事は今後も高い需要があるだろうが、それだけに頼っていたら先細りになることを猛烈に痛感させられましたね。

だからこそ僕だから書ける文章・分野というのを増やしていくことが求められるわけです。育成に関しては以前からも書いていたが、昨年はスポーツビジネスや鍼灸師やホペイロといったスタッフについての記事にもいろいろと書きました。あと自分にとって新展開だったのは、こっちにいながら日本の人に取材をして記事を書くことも普通にできるということですね。

ドイツにいる日本人だからドイツ関連というのも一つの先入観でしかなく、今の時代それこそ世界中どこにいる人にでもコンタクトをとろうと思ったらできる。ネットワークをどんどん広げていこう。ここは貪欲に挑戦していきます。

③WEB講習会・対談主催者として
最初はロックダウン明けのドイツにおける衛生基準やトレーニング例を紹介するために行いました。リモートでどのように講習会が開催できるのかは、まさに手探り状態で毎回少しずつ新しいことにチャレンジしながらだったが、おかげさまで毎回多くの方に参加していただき、今後に向けて軸が見つかったと思っています。

今年もドイツグラスルーツにおけるスポーツの在り方、子供が最適に成長する土台を築くために大人が気をつける環境、ドイツクラブの取り組み、サッカートレーニングのポイント、保護者と指導者との関係性、クラブとしてのコンセプトの作り方、チームビルディングのやり方などなど、様々なテーマでお送りしたいと思います。

WEB対談は先月池上正さんと行いましたが、今年はドイツ人サッカー指導者や関係者との対談もアレンジしたいと思っています。お楽しみに!

④フッスバルラボ運営者として
おかげさまで会員数も増えてきました。それぞれのコンテンツをさらに充実させていくためにアイディア練ってやっていきたいです。昨年もやるといって動けなかった「年代別トレーニングを掘り下げる」を動画コンテンツとして導入したいと思っています。

あと翻訳記事が数多く出回っていますが、実際にこの訳あってるの?とか、この文章の本意はどこにあるの?というのがあやふやなものが気になったりしていたので、そのあたりの比較コラムも書いてみるつもりです。

あらさがしではなくて、新しい解釈の仕方として提示することができたらと思っています。

また交流会メンバーも増えてきましたので、交流会メンバーによる勉強会をスタートできたらと考えています。これまでの交流会は自由な空気感で楽しくお話ができるという点ではよかったのですが、ある意味目的がぼやけるというかあとに何が残るんだろう、というのが少し疑問として僕の中にもありました。

例えばテーマとジャンルを定めて少人数グループを作り、その中でディスカッションをしてもらい、そこででてきたアイディアを交流会で発表するというのをやってみたいです。

フッスバルラボという名前は新しいものを作り上げるためのプラットホームという思いでつけたものです。自分たちでできる解決策を見つけ出し、それに取り組み、それをフィードバックして、さらにネットワークを広げていく。

フッスバルラボ発の活動が一つでも現実のものとすることができたら素敵ですね。

1日はどうしたって24時間だし、1年は365日。だからって睡眠時間を削って活動時間を増やすというのは僕にはできないし、得策だとは思えない。

オン・オフのスイッチをうまく切り替えて、その中で作り上げた時間を有効活用して、一生懸命に全力で、そして真剣に遊びながら、のんびり休みながら、毎日を頑張ろうと思います。

本年もよろしくお願いいたします!

中野吉之伴

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