中野吉之伴フッスバルラボ

【育成論】シンキビッツ「サッカーだけが人生じゃない。恋人ができたり、人生において大切で素晴らしい出会いが色々出てくるころじゃないか」

▼ サッカーって何歳までに極めなきゃいけないの?

高校サッカー選手権というテーマで書いた前回のコラムは24時間無料公開したこともあり、SNSでなかなかの反応があった。議論をするには前提条件と方向が定まらないといつまでたっても解決策へたどり着けない。

なぜ、なにを、なんのために、どのように考察するのか。

そのあたりを整理したうえで僕なりの解釈と問題提起をさせてもらった。

ちょっとここで乱暴に要約してみようと思う。

そもそも高校サッカー選手権って何?

全国高等学校体育連盟によると「育成のため」「生涯スポーツのため」って書かれているけど、そのための大会設計になってます?

高校年代は育成だし、そこで引退するのはよくないという主張は理解できるし、同意見。

でも子供たちにとってこの大会はどんな意味があるんだろう?

サッカー人生の中でメディアの注目を集め、大観衆の前でプレーできるという魅力に勝てる舞台が日本のスポーツシーンにどれだけありますか?

育成の大切さを説くならば、そうやって大人になってもサッカーの練習をして、週末には一生懸命試合をして、本気で喜んで、本気で悔しがって、でも試合が終わったらみんなで楽しんで、そんな大人の背中を見せられないと説得力はないですよ。

ロングスローがどうこう言わないで、このご時世大会が開催されるだけで素晴らしいことなんだから、思いっきりサッカーをさせてあげましょうよ。

こんな感じだろうか。みなさんはどう思われるだろうか。特にツイッター上ではいろんな反応をいただけたので、いくつかこちらでまとめて取り上げてみたい。

何に繋がるか、どの景色をみれるのか。プロの選手になることだけじゃなくて、もっとサッカーに関わりながらできる仕事・環境を教えてほしい。

ボクシング経験者が、選手にならなかった場合、そのあとどういう形でボクシングと関わっていくと面白いのだろうか。

・常に思うのは「選手の頑張りが報われて欲しい」ってこと。 大会に参加する皆んなが外野の雑音抜きに「出場してよかった」と思える競技・大会であって欲しいよ

ゴールが目の前にあって勝つために執着しない人はいないだろうからなぁ。システムを書き換えるしかないですよね。大人の仕事はそれ。

・教育か、育成機関か、それとも人生の一つの目標、ゴールか。 長い間学生ラグビーが隆盛して社会人、代表が低迷していたラグビー界にもとことん当て嵌まる、歪みの正体を考察する必読の唸る育成論記事。 日本代表だけがゴールでもない。何の為に競技をプレイし、また観るのか。

結局は選手権以外に魅力的なサッカーができる場所の少なさが歪な感じを産んでる。 選手権がこの国で無くなる事はゼロだと思った記事。

・それなりの強豪で高校野球をやっていた弟が、卒業後は全くやらなかったので理由を聞くと、「野球はもういい」「やるなら本気でやらないと面白くない」と言ってたのを思い出した。

大人が恰好よければ子どもはグレない(伊坂幸太郎)のと同じ理屈ですね たしかに社会人サッカーだと日の目をみる舞台がないように思ってしまいます。

たしかにとってかわる到達点がないのにどうこう言うのは建設的な意見ではないよな。大人になっても、それぞれのレベルで無理なく楽しめる環境があればこそ、引退という選択肢だけじゃなくなるのかな。

大会の在り方的に、子どもたちにとって一つのゴールになっているのは仕方ないこと。大人になっても、もっと魅力的なサッカーライフがあるような環境をつくっていかないと。ですね。

春高バレーも甲子園も。 大会を無くせとは言わない。 でも弊害が多いことにも直視しないといけない。 直視して何かを作らねば。 つくりたい。

高校選手権の先に、 より魅力的なサッカーの環境を作る。 Jリーガーのような選ばれた一握りの人達だけではなく、僕みたいな才能がなくても輝けることができ、みなが憧れる場を作る。 日本では難しいことかもしれないけど、そんな場所が作れたら色々なサッカーが認められるかもしれない。

共感しかありません。 子供たちは常に勝利を目指して全力でサッカーを楽しむ。 僕たち指導者は現在と未来のバランスという答えなき問いに悩み続けていくべきなんだと思いました。

・高校バスケット界も同じかな。 いい視点をもらえた記事でした。

「大人になってサッカーをするときのために」っていくら大人がいっても、大人になってサッカーをできる環境がないままだったら、だれもその言葉に耳を傾けない。生涯スポーツの大切さをどれだけきれいに書きつづっても、大人になってサッカーをしている人が周りにいなかったら誰も実感なんてできない。
ジュニア、ジュニアユース、ユースという垣根をどんどん取っ払って、街クラブ、J下部、体育連盟、少年団という横のつながりをどんどん太い絆にして、サッカー協会、スポーツ協会、都道府県協会、市区町村協会といった組織間のつながりをどんどん透明で矛盾がないようにして、サッカーっ子たちがいつまでもサッカーと生きていけるような環境づくりを、これからみんなで成し遂げていきたいと切に願うばかりだ。

「そこで」というわけではないのだけど、次ページでは当ラボではおなじみのルーカス・シンキビッツのメッセージを紹介したい。

人生において何が大切なのか、何が大事なのか。

そんなことを考えるきっかけになってくれてたらうれしい。

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