中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】立春のドイツ近況。ロックダウン下での小売店の生き残り戦略

こんにちは!昨日は一日早い珍しい節分でしたね。我が家では料理の得意な夫が恵方巻を作ってくれました。ここフライブルクは人口20万人ほどの中規模の都市なのですが、何件かアジア食材を扱うお店があって、ロックダウン下の現在でもありがたいことに普通に営業しています。日本の食材だけではなく、韓国や中国、東南アジア、インドや中東の食材も手に入るため、エスニック料理を作りたいときにも欠かせないお店です。お米や海苔・味噌・醤油・米酢などは、日本より割高ですがここで手に入ります。

他、お刺身で食べられるような魚介類を置いている大型スーパーが市街地に1軒あるのですが、買い物はなるべく家の近くでと決めているので今回は無し。近所のスーパーでスモークサーモンやアボカド、きゅうり、ゆでエビやカニカマなどを揃えて作ってもらいました。カニカマはドイツでは”Surimi“と呼ばれていて、低カロリー高たんぱくな食材としてサラダの具材などに人気があり、手に入りやすいお寿司の具材の一つです。

さて、ここドイツでは、一般の小売店は生活必需品を扱う店以外は営業できない状態が昨年11月から続いています。多くの店舗はオンラインショップを開設したり、Amazonebayでの販売に着手したりしており、百貨店勤務の友人は配送作業のため、クリスマス前後は特に忙しくしていました。ただ、一方で、店や商品によってはオンライン販売に対応できないものもありますし、高齢者層を中心に、オンラインショッピングを使いこなせない消費者も少なからずいます。また、郵便や配送業者の負担が慢性的に増加していることも問題化しています。なんでもクリック一つで自宅から簡単に買えることに慣れ過ぎてはいけないよな…と思いつつ、今日もAmazonでノートをまとめ買いしました。文具店も閉まっているので、子どもの文具や工作の材料など、ちょっとしたものでも通販が頼りです。

ここは市内の食器や調理器具、食卓周りの雑貨を扱うお店。店内に入ることはできませんが、小さなカウンターが入口に設置されており、インターネットで事前に注文した品物を引き取ったり、店頭で実物を見比べた中から好きなものを選び、購入することができます。インターネットの他、電話やFAXで「こういうものを探しているので相談に乗ってほしい」という品物選びにも対応してくれ、お店側はカウンターで商品カタログを見せたり、実際に店内から現物を持ってきてもらうなど、なんとか対人接客ならではのサービスを維持できるよう工夫しています。客1人あたりの店内滞在時間を極力減らしながらも、来店すること自体は可能になるこのシステム。生活必需品でないものを中心に扱う店舗にとっては営業を継続するための生命線になっています。

ちなみに、通常営業が可能なスーパーやドラッグストアでも、事前に品物をネットで注文し、店舗で引き取り・支払いというサービスが春のロックダウン時から普及しています。短時間で買い物が済むことで客側にも店側にもメリットは大きいですし、せっかく買い物に行ったのに売り切れだったというロスを避けることができます。我が家ではもう子どもが大きいので買い物の苦労はほとんどありませんが、子どもが小さかった頃には、目の離せない子どもたちを連れて店内を回るだけでグッタリしていました。加えて、ドイツではネットスーパーなるものがそれなりに普及しているのは大都市圏だけで、中小規模の自治体ではそれほど一般的ではありません。ネットスーパーと通常の買い物との中間のようなこのサービス、おむつとベビーフードとウエットティッシュと洗剤を全部まとめて取り置きしておいてくれて、あとはお金を払って持ち帰るだけで良いのですから、小さなお子さんがいるご家庭ではコロナの渦中でなくてもとても助かるのではないでしょうか。

いわゆる「不要不急」の外出や買い物を避けることは、短時間なら可能かもしれませんが、昨秋からずーっと、となると、これはもう店側にとっても、客側にとっても、忍耐力の問題だけではなくなってきます。フライブルク市内では、一部の子ども靴・子ども服のお店が、来店を事前予約制にするなど衛生対策を行った上で営業しています。お店は閉まれど子どもは育ちます。小さくなってしまった服や靴を買い直すのに、きちんと試着して合ったものを買いたいというニーズは強いようで、この例外的な営業形態もまた、子育て世代からは歓迎されているようです。

このロックダウン、修了予定とされる214日が少しずつ近づいてきましたが、さて今月下旬にはどの程度解除されているのでしょうか。冬休みからそのままカーニバル休暇明けまで、ずっと学校にもサッカーにも行けていない子どもたちの生活が、少しでも元に戻り始める兆しを待ちわびる立春の今日です。

今週もありがとうございました!次回の「ゆきラボ」もよろしくお願い致します。

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