【対談】モラス雅輝さんとWEB対談「大阪府サイズのオーストリアから逸材が育まれてくる理由とは?」
▼ きちゼミWEB対談:今度のお相手はモラス雅輝さん!
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【スピーカープロフィール】
1979年1月8日生まれ。母親の再婚先がオーストリア人であったためにモラス姓に。
97年に18歳でサッカー選手から指導者に転身。オーストリア女子ブンデスリーガ1部、ドイツ女子3部、オーストリア男子2部に属するクラブで監督やヘッドコーチを務め、6度のリーグ優勝、5度のリーグ昇格経験を持つ。オーストリアサッカー協会の育成指導者、オーストリア・ブンデスリーガのFCヴァッカー・インスブルックでスカウト、インスブルッカーACの育成部門統括ディレクターを歴任。
ブンデスリーガ・スポーツマネジメント・アカデミー第9期生として卒業。アジア人初。
日本では浦和レッドダイヤモンズでフォルカー・フィンケ監督の、そしてヴィッセル神戸でトルステン・フィンク監督のコーチを務める。
世界のサッカーを考えたときに、だれだって最強レベルの国やクラブの話をしたがる。
バイエルン、バルセロナ、リバープールといったクラブではどんな取り組みが行われているのか。
ドイツやスペイン、イングランドではどんなサッカー文化が育まれているのか。
もちろんそうした視点だって大事だし、トップレベルの国やクラブから学べることはものすごく多い。
ただ実際のところ、そこで得られる知見というのはどこまで自分のところで本当の意味で参考になるのだろうか。「すごいですね!」という感想以上の何かを持ち帰られるだろうか?
そういった点で、規模的に大きくはなくても実直でアイディアに満ちて、とても優れた仕事をしているところに学びに行くことが大切ではないかと思うのだ。
以前、モラスさんのもとを訪れたときに次のようなやり取りをしたことがある。
中野「僕はモラスさんのツイートでおもしろかったのは、あのザルツブルクのUEFAランキングのやつ」
モラス「ああ、クラブランキングの?」
中野「そうです、そうです。あれって確かにみんな知らない情報だったと思うし、オーストリアリーグってだけで低く見ている人がすごく多いと思う」
モラス「多いです、多いです。たくみ君(南野選手)とも話したことがあるんですけど、ヨーロッパリーグの準決勝に行くとか、今シーズンもベスト8そこまでいける実力があるって言うのは、そう簡単な話じゃない。
そういうインテンシティの高いサッカーを年間通して行っているからこそ、肝心なときにライプツィヒやドルトムントにも勝てる。そういうことに関してはもっと自信を持っていいというのもたぶん彼も感じているし、僕たちオーストリアのサッカー関係者もすごく感じている。ザルツブルクが凄すぎちゃったけど例えばラピード・ウィーンもヨーロッパリーグでグループリーグを突破しているんですよ」
中野「ラピード・ウィーンはオーストリアカップ決勝で見ましたけど、いいサッカーしてました」
モラス「オーストリアはヨーロッパのリーグランキングで11位のはず。7月になって更新されたらオーストリアはオランダを抜くと思う。でも、そういうのを日本の人はまだあんまり知らない人が多い」
中野「例えば、経営規模っていうところで言うと、フライブルクはブンデスリーガの中だと本当に一番下の方ですけど、Jリーグと比べると、トップレベルと一緒か、むしろフライブルクの方が上くらいになります。でも、日本の中における立ち位置っていうところから考えて、『じゃあ、ブンデスリーガならバイエルンかドルトムントかに視察に行こう』ってなると、自分たちの台所事情・現在地とズレていないだろうかって思うんですよね」
モラス「フライブルクみたいなクラブが、元々そんなスポンサーがすごく多い地域なわけでもないのに、コンセプトを持ってちゃんとやっている。育成や女子チームにだけじゃなくて、プラスαで社会のための活動もすごくしっかりやっているじゃないですか。そういうのをちゃんと見て欲しいなって思うんですよね。でも、みんな知らないから結局バルサとかバイエルンとかを語り出す」
中野「そうなんですよね。オーストリアのザルツブルクとか、あとスイスのバーゼルとか、トップリーグではないかもしれないけど、そうしたトップリーグのトップレベルのチームとCLやELで粘っていい試合をするクラブがたくさんあるじゃないですか。デンマークなど北欧にも。派手ではないけど、すごくいい仕事をしているクラブは、欧州にたくさんある。そういうところをもっと見てほしいと思う」
▼ オーストリアのサッカー・育成事情を知っていますか?
オーストリアの人口は約885万人。人口で比べたら、大阪府と同じくらいだ。
そんな規模の国に2300以上のサッカークラブがあり、協会登録選手数は52万人を超えるのだから驚きだ。ちなみに大阪府の協会登録選手数は2019年発表で3万9783人。
単純な数字の比較でしかないが、でも大阪府の規模で1部12クラブ、2部16クラブのプロクラブがあると考えると、ものすごいことではないか。
そして実際にオーストリアからは近年数多くの優秀な選手が育ってきている。バイエルンCBダビッド・アラバ、ライプツィヒMFマルセル・ザビツァー、フランクフルトDFマルティン・ヒンターエッガーなどなど、欧州トップレベルのクラブでプレーする選手たちがいる。
彼らはどのように育まれてきたのか。
どのような目的で、どんな目標を持ち、どのようなコンセプトを作り上げたのか。
自分達が置かれた状況をどのように受け止め、そこからどのようなアイディアを生み出したのか。
工夫に満ち溢れたオーストリアサッカーのこれまでと今、そしてこれからを学ぶことは、日本におけるサッカー、育成、グラスルーツ環境における問題点、改善点について改めてじっくりと考えるきっかけになるはずだ。
料金設定:
一般 2500円
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割引情報:
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中野吉之伴
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