中野吉之伴フッスバルラボ

【ドイツ便り】今週のブンデス日本人選手全チェック!原口元気去就に関する各メディアのドイツ語訳はなぜか大間違い。そんな誤訳はなぜ生まれた?

▼ 1部:22節

【フランクフルト:11勝9分2敗 45得点30失点 4位】
対 バイエルン 2-1 〇
★ 鎌田大地/21試合出場
トップ下2枚の一角でスタメン出場。コスティッチのクロスから見事の先制ゴールを決めたほか、ユヌスによるチーム2得点目をアシスト。このパス自体は特別なものはないが、右サイドからのボールがゴールラインの外に出そうなところをしっかりと拾ってつないだところに価値がある。得点機以外にも攻守に運動量が豊富で、たびたびバイエルン守備陣を振り回す頭脳的なプレーを見せていた。アディショナルタイム3分までプレー。

★ 長谷部誠/18試合出場
アンカーでフル出場。プレスをかけてくるバイエルン選手をするっといなしてパスを展開する様はもはや名人芸。開始直後、前に出てボールを奪取。鎌田からユヌスへつながり、最初のチャンスを作り出す。スピードに乗ってドリブル突破を図るサネからボールを奪取後すぐに中盤でフリーのユヌスへパスをスパッと通すシーンも。

スピードのコントロールもさすがで、必要な場面では最大速度でボールに向かい、相手をじらすときにはスピードを落としたりする。前半は王者相手にゲームをコントロールし、後半は相手の反撃に対して守備ラインにタイミングよく落ちながらサポート。勝利に大貢献した。

【ウニオン・ベルリン:8勝9分5分 35得点25失点 7位】
対 フライブルク 1-0 〇
★ 遠藤渓太/8試合出場
ベンチスタートも76分から途中出場。左サイドの攻撃的なポジションに入る。決定機に絡む場面はなかったが、ペナルティエリア付近でドリブルから相手ファールを誘いFKを獲得するなど、悪くないプレーを披露。

【シュツットガルト:7勝8分7敗 39得点35失点 10位】
対 ケルン 1-0 〇
★ 遠藤航/22試合出場
アンカーでフル出場。ボランチの位置でマンガラとバランスをとりながらゲームをコントロール。危ない場面をほとんど作らせずに、完封勝利に貢献。パス成功率92%と正確なプレーで攻撃にも関与。

【ブレーメン:5勝8分8敗 24得点31失点 12位】
対 ホッフェンハイム 0-4 ●
★ 大迫勇也/16試合出場
60分からMFメーバルトと交代で出場。ただ攻撃にアクセントを加えようにも、この日は全体的に前半から動きが良くなかったというチーム事情もあり、起点を作るのは難しかった。76分、FWサージェントにパスをうまく通したが、シュートには持ち込めず。

【ビーレフェルト:5勝3分13敗 18得点38失点 16位】
対 ヴォルフスブルク 0-3 ●
★ 堂安律/22試合出場
開幕から22試合連続スタメン出場。バイエルン戦で負傷していた膝は大事にはいたらず元気にプレー。ただこの日はチーム力の差が如実に表れてしまった試合となった。常に複数相手に囲まれる状況が続き、チャンスを作り出すまでにはいかなかった。

★ 奥川雅也/1試合
60分に途中出場でデビューを飾る。押し込まれ続ける難しい試合展開ながら、右サイドで相手3人のマークをかいくぐって味方選手にパスを出したり、ペナルティエリア内でうまくパスを受けてシュートに持ち込んだりと、今後に期待を抱かせるプレーを見せていた。

▼ 2部22節
【ハノーファー:10勝3分9敗 33得点25失点 7位】
対 デュッセルドルフ 2-3 ●
★ 原口元気/22試合
トップ下でフル出場。ピッチ上を勢力的に動き、守備で体を張り、パスを引き出して攻撃に変化をつけようとしたが、この日は決定機を生み出すことがなかなかできず。シュートシーンを2度演出し、自身のシュート数は0。一人少ない相手に攻め込もうと前がかりなチームのなかでバランスをとろうとしていたこともあり、難しい試合となってしまった。

★ 室屋成/21試合
右サイドバックでフル出場。意欲的にプレーに関わろうという思いは伝わってきたが、対面のコブナッキ相手に苦戦。時間がたつにつれて対応できるようになってきたが、その分攻撃への関与は少なくなってしまった。

【デュッセルドルフ:10勝6分6敗 32得点29失点 6位】
対 ハノーファー 3-2 ◯
★ アペルカンプ真大/15試合出場
負傷から待望の復帰。61分から途中出場すると、数的不利と厳しい試合展開の中、カウンターから貴重な決勝ゴールをマーク。ファーストタッチが素晴らしかった。飛び出してくるGKの動きを見て冷静にゴール左隅へと流しこむファインゴール。チームに5試合ぶりの勝利に導く活躍だった。

【ザンクトパウリ:7勝7分8敗 36得点40失点 11位】
対 ダルムシュタット 3-2 〇
★ 宮市亮/0試合出場
膝の負傷からの復帰を目指しリハビリ中。チームは4連勝で11位に浮上している。

▼ 今週のピックアップ!:原口元気

ハノーファーでプレーする原口に関してこんな記事がアップされていた。見出しに違和感を感じて内容をチェックしてみたら、いろいろとドイツ語訳の間違いが見つかった。それもちょっとのミスではなく、真逆のことが書かれている!

ドイツのサイト「シュポルトバッツァ―」の記事より、『「ゴール前での危険性、スピード感に欠けている」と評価。「ゲンキ・ハラグチは退団するだろう」との見解を示している』という論調で訳されており、goalでは「来季に向けての再編成では原口なしのチームを考慮すべきだと考えられているようだ」と書いているが、原文を読むと全く逆のことが書かれているのがわかる。

まずはシュポルトバッツァーの記事を取り上げて、訳してみよう。

「シーズンの目標である昇格はかなり確実に難しいものとなってしまった。ハノーファーにとってここからは、来季また2部でプレーするためプランすることになる。とりわけ心配となるのが中盤だ。ゲームメーカーである原口元気は去ることになるかもしれない。そうなったらチームにはゴールへの危険性、スピード、プレーへの喜びが欠けてしまうことになる」

原口がだめだから移籍もやむなしではなく、原口がいなくなるから、中盤が心配になるという論調なのだ。

そもそもこの記事の見出しが「問題となる中盤。ハノーファーは原口を保持することができない。そうなったら誰が(攻撃で)危険なプレーを引き出すのか?」となっているんだから、原口がいないと困るという論調が来るに決まっていると思うのだが…。

次ページでは元記事のドイツ語をどのように誤訳したのかを推測してみようと思う。

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