中野吉之伴フッスバルラボ

【指導論】指導教官が言っていたことだから全てが正しい?僕らは何を、どのように学んでいくのが大切なのだろうか。

▼ 指導者としてどんなことを学んでる?
※ 指導者交流サロンへ寄稿したコラムの転載

新型コロナウィルスの影響で今まで通りには活動できないのは日本もドイツも一緒だろう。そんな状況下をどのようにポジティブに生かすことができるのかを考えることは大切だ。僕の場合は物書きとしてリモートを駆使していろいろと可能性を探りながらやっている一方で、指導者としてはこれを機にいろんなことを勉強したり、メモ書きしてあったのをある程度清書したり、指導者間のネットワークを広げたりということに時間を使うようにしている。

時間は黙っていたらどんどん過ぎていってしまうだけだけど、やるべきことを整理して、ちょっとずつでも取り組んでいったら確かな学びになる。

では指導者としてどんなことを、どのように学ぶことが大切なのだろう?

僕は09年にドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル相当)を所得。これはフッスバルレーラーライセンス(日本でいうS級ライセンス)に次ぐもので、男子ブンデスリーガ、2部、3部リーグ監督以外のどのポジションにもつける資格だ。

ちなみに、ドイツでは2部、3部はそれぞれブンデスリーガ2部、ブンデスリーガ3部と呼ばれるが、ブンデスリーガ1部とは言わないのだ。ブンデスリーガとはそれだけで1部のことを表わす特別な位置にあるリーグと受け止められている。

さて、ドイツの指導者ライセンス試験は基本どの段階でも筆記、実技、口頭、指導実践の4部門から成り立っている。合格かどうかは4部門すべてで最低限の得点を取ったうえで総合点で判定されるわけだが、ただどの部門も同じように配点されるわけではなく、一番重要視されているのが指導実践。ここだけの得点が全体の半分を占める(受講当時)。

そして僕は当時この指導実践が一番の苦手だった。それ以前に受講してきたC級ライセンス(現B級ライセンス)、B級ライセンス(現エリートユースライセンス)講習会の試験では、合格したとはいえ指導実践の点数はいつもギリギリ。筆記、実技、口頭はそれなりに点が取れていたけど、指導実践の点数が良くないので、総合評価はまあまあくらいの位置に。

ドイツ語で、それも指導現場でバリバリやっている他の指導者と比べるとどうしても見劣りしてしまうというのは自分でも感じていたし、悩みでもあった。

指導者としての力をもっと身につけたい。もっと学びたいな。

当時はそんなことをよく考えていた。でも、何をどうすれば指導者としての力を身につけることができるのか。その大事な芯のところが僕のなかでははっきりとしていなかったと思う。

それに気づけたきっかけはB級ライセンス講習会のある出来事だった。

(残り 2021文字/全文: 3125文字)

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