中野吉之伴フッスバルラボ

【ドイツ便り】スーパーリーグ新設に対してドイツクラブはみな反対意見を表明。コロナ禍で難しい今だからこそ収益アップよりもクオリティアップを大事にしてほしい

▼ スーパーリーグ?チャンピオンズリーグリフォーム?

欧州トップ12クラブによる欧州スーパーリーグ新設について世界が激震している。スーパーリーグってなんだ?簡単に言うとスター選手を抱える欧州のトップクラブ同士が定期的に試合ができるフォーマットを固定しようとするもの。

スペインのレアルマドリード、アトレティコマドリード、バルセロナ、イタリアのユベントス、インテルミラン、ACミラン、イングランドのリバープール、マンチェスターユナイテッド、マンチェスターシティ、トッテナム、アーセナル、チェルシーの12クラブが参加を表明しているが、15の創設クラブ+5つの招待クラブでのリーグ戦を通年かけて行うというものだ

こちらのリーグ戦は昇・降格がない。創設15クラブはずっとこの大会に参加できる。一説によると、アメリカのNFLがモデルになっているという。スリリングなリーグを見るのではなく、スター選手の共演を楽しむ場というイメージなのだろうか。アメリカ人オーナーの参画が増えてきているヨーロッパクラブの一部ではそうした場を作り出すことでお金の動きを作り出そうとしている背景があるようだ。

当然現在行われている欧州チャンピオンズリーグには参加できなくなるから、UEFA(欧州サッカー連盟)としては許すわけにはいかない。国内リーグを勝ち残ったチームが参加するフォーマットがあるからこそ意義があるし、オープンな競争こそがスポーツの原則なのは間違いない。

一方でUEFAにしても現行のCLリフォームをずっと画策しているのだが、こちらもいろんな疑問点があるのが現状だ。

32チームが8グループのグループリーグを戦い、上位2チームずつが決勝トーナメントに進出という今の形から、24年からは36チームが参加し、それぞれのチームがホーム5試合アウェー5試合計10試合を戦い、上位8チームが決勝トーナメントへ進出、9位から24位のチームはホームアンドアウエーのプレーオフを戦い決勝トーナメント進出へというフォーマットへ変更される模様。

はっきり言ってこっちも相当ややこしいし、こっちのほうがいいよねといえるようなものもない。一応、国内リーグにおける戦績で大会参加が決まるという点ではオープンだとはいえる。

今回はドイツクラブの反応をお届けしたいと思うが、とにかく一番最初に、最も大事なところを指摘しているSCフライブルクの声明をご紹介したい。

「いわゆるスーパーリーグというものの導入は、スポーツから離れていったいくつかのクラブによるエゴイストなアイディアだ。そしてすでにプランされているUEFAチャンピオンズリーグのリフォームは間違った方向への一歩だ。現在すでに存在している金銭的な不公平さはさらに加速していくだろう。国内リーグの結果によってのみ、インターナショナルの大会への参加は決定されるべきだ」

どちらかではなくて、どちらも間違っている。その通りだと思う。スーパーリーグだけではなく、CLリフォームにも反対の声明を発表したSCフライブルクの考えは素晴らしいと思う。僕らは今サッカーとは何かをもう一度根本から考え直さなければならない時期にきているのだ。

(残り 3179文字/全文: 4542文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ